こんにちは。GANG PARADE/KiSS KiSSのキャ・ノンです。一年に一度、誕生日を迎えることがあんまりうれしいことじゃなくなってきました。小さい頃はあんなに楽しみにしていたのに、かなしい現実です。でも、なんだかんだでこうやって、今一番大切な存在のあなたたちが目の前にいてくれたり、好きなグループで好きな歌を歌えたり、人前でライブができたり、みんなの声が聞けたり顔が見れたり、よくよく考えてみたら今が人生で一番楽しいかも!と思えたりで、今はとってもハッピーです。ありがとー!

そんなわたしですが、燻っていた時期ももちろんありまして、荒みまくったり、病んだり、そんな時期を経てなんとか大人風になっていきました。夏に回った学生限定ツアーで、お悩み相談を聞いたときに「卒業までの時間が不安になる」と話してくれた子がいて、死ぬほどわかるとなりました。わたしにもフリーター時代があって、何にでもなれる無敵感と、何にもなれなかったらどうしようの絶望の行ったり来たりで。大学には通っているけど、この学費だって馬鹿にならないし、卒業できなかったらどうしよう(単位取れ)と落ち込むことが多かったです。

大学行って、バイトして、課題やって、ボイトレ通って、帰って天井を眺めて。今思えば、もっといろんなことに挑戦すればよかったって思うし、もっと有意義な時間の使い方あったのに!とも思うけれど、そのときには気付けないんですよね。大人のアドバイスなんて一番すり抜けていくものだし。

 

でもそんなときに、思い立って応募してみたオーディションがあるんです。それは大人計画の舞台のオーディションで、一次審査が「将来の自分」というテーマの作文を書いて送るものでした。何にも知識なしで入学した文芸学科に通い、課題はいつもなんとなくで書いて通用してるのかしてないのかわからなかったので、外の世界に自分の文章を送ってみたいという好奇心もあり、応募することを決めました。小説書いて賞に出せばいいじゃんと教授は軽く言ってくるけど、そんな勇気も長い文章を書く才能もないわたしにとっては、自分を試すことができるチャンスだったので、勢い任せに書いてみたのです。

今よりももっと尖ってて、可愛げのない文章で、日記をみせるみたいで恥ずかしいですが、今日はそのときに書いたものを載せちゃおうかなと思います。写真はその当時のものを探してみました。ちなみに、このオーディションはもちろん落ちました。

 

 

将来の自分

 

こんなことを言ったら怒られるからあまり大きな声では言えないが、私は三十歳で死にたい。

別に希死念慮があるわけでもないし、常に死にたいと思っているわけでもない。確かに、死にたいと生きたい、の間で揺れながら息をしているけども、三十歳で死にたいというよりかは、三十歳までに全うしたいと言った方が正しいかもしれない。例えば、本来六十歳まで生きるとして、その寿命を半分にする代わりに人生を二倍に濃縮したい。めちゃめちゃに濃い人生を歩みたいのだ。人間の寿命はあまりにも長すぎると思う。

これはあくまで個人的な意見だが、これから先無事に大学を卒業できて、就職できて、常に税金は納めつつ、奨学金を返し続ける生活にどうしても憧れを持てない。しかし私は、この世の中に不満を持っているわけではなく、そこに折り合いをつけて未来と向き合えない自分に対して腹が立っているのだ。現に大学を卒業できる自信がない。出来損ないで落ちこぼれの自分にひどく落ち込むことばかりだ。今後一生たらたらと、かなしい気持ちと怒りを抱えたまま生きていたくないのも三十歳で死にたい一つの理由である。

そしてもう一つは、三十歳までの間にやりたい事を詰め込みまくりたい。若さに拘ってしまうのはきっと、これまで出来なかったことを無意識に追ってしまうからだ。

私は今年の六月にアイドルをやめた。今は何者でもない。だからなんでも出来る、何にでもなれるのだ。自分の中で埃を被っていた憧れを少しずつ綺麗にして並べていく。今はその真只中だ。

映画や舞台に出たり、銀杏BOYZのジャケ写になる夢だっていつの間にか諦めてしまっていた。幼い私も叶わない夢の方が多いと知ったし、仕方ないと諦めることが正しいと思っていた。しかしそれはちがう。

叶えたい叶わない夢をただじっと指を咥えて見ているのではなく、自分から動きたくなったのだ。もちろん大きな決断だったし、死ぬほど怒られ止められたし、でも後悔は一切していない。あの頃は、他人に迷惑がかかるからと何も出来なかった自分が、ここまで大きく動いたことに感動すら覚えた。

だから今は少しでもやってみたい事は全部挑戦したい。これもその一つだ。自分の人生の濃度をできるだけ濃くしたい。自分でも馬鹿げていると思うし、頭が悪い。将来の自分という作文なのに、三十歳で死にたいなんてこれっぽっちもキラキラしていなくて申し訳ないが、読んでくださってありがとうございました。

過去の連載記事はこちら
https://strmweb.jp/tag/ca_non_regular/

キャ・ノン

「「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する12人組アイドルグループGANG PARADEのメンバー。また、「KiSSをあなたにお届けchu!♡」をキャッチコピーに活動するWACK初の王道5人組アイドルグループ『KiSS KiSS』のメンバーの一人でもある。ライブ好きで、苦手なことや、できないことは出来るようになればいいというタフでロックな精神の持ち主。2024年5月31日より自分自身のライブレポートなどを綴った『アイドルリアル備忘録』をSTREAMにて連載中。