学生時代に経験したバレンタインの懐かしい気持ちを思い出した

――ドラマ「チョコっとだけ…」で演じるパティシエの衣装で登場していただきましたが、今回は「ワンカット撮影」という手法で、TikTokというプラットフォームを最大限に活かした作品になっています。

松川 星(以下、松川) 初めてのワンカットドラマでわくわくしました。一連で撮るということは長回しになるので、集中力が必要ですし、自分にできるのか不安な気持ちもあったんですが、やってみたら楽しくて。みんなで協力して撮影を終えることができました。

――主観での撮影なんですよね。

松川 そうです。カメラを相手だと思って話すのが意外と難しくて。カメラの横に相手のセリフを出してもらっていたので、そっちに気がいっちゃうんです。不意によそを見てしまうとワンカットなので、またやり直しになっちゃいますからね。

――リハーサルは入念に行ったんですか?

松川 それがリハをやり過ぎてしまうとワンカットというのもあって自然な演技ができなくなっちゃうんですよね。だから、あんまりやり過ぎず、そのときの雰囲気を楽しんでやろうと、ほぼぶっつけ本番で全集中してやりました。

――3つのエピソードで構成された全8話のドラマですが、松川さんのパートはどんなストーリーなのでしょうか。

松川 私演じる明日香ちゃんには好きな人がいて、でも好きな気持ちを伝えられなくて、バレンタインをきっかけに思いを伝えようと一歩踏み出す物語です。明日香ちゃんはパティシエなので、自分で作ったチョコを渡すんですが、甘酸っぱい恋模様が描かれています。

――チョコ作りの経験は?

松川 学生時代、まさにバレンタインのときに作ったことがあります。ただ、あんまり料理をしなかったので、母に手伝ってもらいました(笑)。今回の撮影では初歩的な工程だけだったので大丈夫だったんですが、チョコ作りをしながらセリフを言わなきゃいけないのは大変だなと思いました。チョコの香りが懐かしくて、学生時代を思い出しましたね。

――明日香はどういうキャラクターなのでしょうか。

松川 素直な性格で、なかなか緊張して気持ちを伝えられないんだけど、思いが溢れてバレちゃうという、かわいらしい女の子です。私自身、積極的に行けないタイプなので共感しましたが、思いは隠し通すことができます(笑)。明日香ちゃんは好きバレしちゃうので、動揺している表情にも注目してほしいですね。

――ワンカットならではのお芝居の表現はありましたか。

松川 カット割りがない分、間が重要で、一つひとつの思いもリアルに伝わるので、自然な空気感を生み出せたかなと思います。流れでできるから、気持ちも持続するんですよね。

――縦型ショートドラマの撮影に関して戸惑いはなかったですか。

松川 普段から観ますし、何度か出演させていただいたこともあるので、慣れているほうだと思います。ただワンカット撮影には慣れていなかったので新しい経験でした。

――縦型ショートドラマの魅力はどういうところに感じますか。

松川 どうしてもドラマって「よし観よう!」ってならないと、観る気持ちにならないじゃないですか。でも縦型ショートドラマは3分から5分くらいと尺が短いですし、SNSに切り抜き動画が出てきたから気になって観るとか、広告で気になって観るとか、目にすることも多くて、手軽に観られるのがいいですね。忙しい毎日でも、通勤や通学の途中にパッと観られるドラマが多いので、よく私もタップします。

――松川さん自身のバレンタインの思い出もお聞かせいただけますか。

松川 幼稚園のときに好きな男の子がいて、チョコを買って、近所というのもあって母と二人で渡しに行きました(笑)。ちゃんとホワイトデーにお返しのチョコをもらって。それが初めてバレンタインにチョコを渡した思い出なので印象に残っています。年齢を重ねていくにつれてイベントごとって大々的にやらなくなりますが、学生時代のバレンタインはビッグイベントだったので、今回明日香ちゃんを演じて当時の気持ちを思い出しました。