伊原六花さんから真摯に作品と向き合っていく熱量と覚悟を肌で感じることができた

――もともとホラー映画は観るほうですか?

藤原大祐(以下、藤原) もちろん観たことはあったんですけど、あんまり得意じゃなくて。『リゾートバイト』の出演が決まって、幾つか海外のホラー映画を観たんですけど、やっぱり苦手でした。ただ事前に永江二朗監督の過去作も観させていただいたんですが、他のホラー映画とは違う感覚があって、もちろん怖いんですけど、すごく惹きこまれました。

――初めて脚本を読んだ印象はいかがでしたか。

藤原 まず、どういうふうに撮るんだろうというのが最初の印象で、文字だと想像がつかないんですよね。具体的に書かれているところと書かれていないところの両方があって、どういう風にお芝居をするのかなと。お芝居をするときは目の前に怖い対象がいるわけではないので、見えない中で演じるのは難しそうだなと思いました。

――藤原さんは伊原六花さん演じる主人公・内田桜の幼馴染で、ひそかに彼女に思いを寄せる大学生・真中聡を演じました。どんな印象の役柄でしたか。

藤原 物静かですけど、すごく思いやりがあって、「海を見たい」と言っていた桜の夢を叶えるためにリゾートバイトを始めます。そういうキャラクターですけど、早い段階で大きな変化が訪れてしまいます。

――撮影は約一か月に渡って、岡山県笠岡市・白石島で行われたそうですね。

藤原 とても素敵なロケーションでした。昼間は綺麗だけど、映像を通すと夜は怖そうな雰囲気を醸し出していて、この映画の世界観にぴったりでした。人通りも少なくて、静かな場所なので、撮影が終わって東京に帰ってきたときは「うるさ!」って思いました(笑)。

――場所がお芝居に影響を与える部分もありましたか。

藤原 セットじゃないから役に入りやすかったですし、ホラー的な世界観にも、すんなり入ることができました。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

藤原 めちゃくちゃ明るい現場でした。キャストもスタッフさんも気さくで、笑いが絶えないんですけど、本番ではギュッと集中していました。

――永江監督の演出はいかがだったのでしょうか。

藤原 事前に永江監督のホラー理論と、普段のお芝居とは違うアプローチになることもあると伺っていたので、永江監督に身を委ねようという気持ちで撮影に臨みました。序盤の日常シーンに関しては普段通りのアプローチではあるんですけど、ホラーのパートに入ってからは、いろいろなディレクションをしてもらいながら進めていきました

――ホラー理論とは、たとえばどのようなものでしょうか。

藤原 いろいろあるんですが、特に大切なのはタイム感です。たとえば振り返る速度にしても厳密で、セリフ、息遣い、動作など、タイム感を細かくディレクションしてもらいました。

――先ほどチラッとお話していた、見えていないものが見えている演技はいかがでしたか。

藤原 大体のお芝居は対象が人間なので、怖い、うれしいなど、人間に対しての感情を考えて演じればいい。でも何もないものに対して怯えなきゃいけないので、そこは新しい挑戦でしたし、難しかったです。でも、そこは永江監督のディレクション通り演じて、OKしてくれたら大丈夫だと信じて頑張りました。

――役者さん同士の呼吸も大切ですよね。

藤原 そうですね。基本的に怖がるシーンは六花さんと一緒だったんですけど、そこは阿吽の呼吸みたいなものができた気がします。六花さんの座長としての姿勢が素晴らしくて、真摯に作品と向き合っていく熱量と覚悟を肌で感じることができたので、引っ張っていただきました。

―――伊原さんと話し合うことはあったんですか?

藤原 六花さんは普段から気さくで、自然と現場が明るくなるんですけど、直接口で指示するというよりは、背中で見せるところがあるので、話し合わなくても理解できました。

――完成した作品を観て、どんな印象を受けましたか。

藤原 テンポ感が心地よくて、どんどん進んでいって、あっという間に90分が終わりました。永江監督自身、飽きさせないで観てもらえることを意識していると仰っていたんですが、まさにその通りの映画でした。