エドワード・ヤンの映画が大好きなので台湾ロケが楽しみだった

――主演映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』(以下、『シンシン』)の撮影は台湾でしたが、台湾は以前から馴染みのある土地でしたか。

岸井 何度も行ったことがあります。私は果物が大好きなのですが、台湾は果物が本当に美味しいですし、活気があって素敵な街です。何度行っても、新たな魅力があります。

――台湾映画もお好きなんですか。

岸井 エドワード・ヤンの映画が大好きで、事前にネットで検索して、『ヤンヤン 夏の想い出』(00)のロケ地はほぼ行きました。

――『シンシン』のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。

岸井 監督の真壁幸紀さんとプロデューサーの阿部豪さんから、「岸井さんしかいない」と言っていただいて。私の演じたちづみが小柄という共通点も大前提としてあったと思うのですが、すごく熱のこもった言葉をかけていただきましたし、大好きな台湾で撮る。しかも相手役はツェン・ジンホアさんで、台湾の俳優さんと共演するのは自分にとっては初めてのことでしたし、海外のクルーとお仕事することにも興味があったので楽しみでした。

――撮影現場で台湾映画ならではだなと感じたことはありますか。

岸井 DOP(撮影監督)のウェイン・ローさんは、とても綺麗な画を撮る方で、私がエドワード・ヤンの作品などを観て感じてきた台湾映画らしい画作りの血みたいなものが脈々と流れているんだなと感じました。カメラを置く位置ひとつ取っても、日本映画で育ったDOPとはまた違う世界観があって。たくさん会話をしたわけではないですけど、感じるものがあって、それがすごく面白かったです。あと台湾の方は食事や休憩時間を大事にするんです。

――大事にするというと?

岸井 ちゃんとランチ休憩があって、ご飯も温かいものを温かいうちに食べるのが台湾の方々が大事にしていることです。あと時間が押したら押した分だけ、ちゃんとオーバーチャージ(残業代)があって、時間が厳密に決まっているんです。ちゃんと決まった時間に決まったことを終わらせようという意識が、現場の士気を挙げることにもつながるんだなと感じました。

――台湾での食事は充実していたんですね。

岸井 もちろん台湾料理はどれも美味しいんですが、3週間くらい滞在していたので日本料理が恋しくなるところもあって。プロデューサーが日本から持ってきてくれた納豆ふりかけをかけてご飯を食べた瞬間はほっとしました。