スタッフさんも含めて皆さん仲が良くて一つのチームだった

――Netflix映画『新幹線大爆破』の出演が決まったときのお気持ちからお聞かせください。

豊嶋花(以下、豊嶋) 女優として一つの目標にサイコパス役をやりたいというのがあったので、こんな壮大な作品で夢が叶うのは率直にうれしかったです。

――初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか?

豊嶋 すごく面白かったのですが、正直想像がつかなかったです。特に本部のお話のところは専門用語が多すぎて、脚本を読んだだけでは分からない部分も多くて。どんな映画になるんだろうというワクワク感もありました。

――撮影前に、樋口真嗣監督と何かお話されましたか。

豊嶋 最初に「豊嶋さんには柚月をやっていただきたい」ということで、樋口監督との打ち合わせの場を設けていただきました。そういう場を設けていただいたこと自体がうれしくて、「ぜひやらせていただきたいです!」とお返事しました。その後もクランクインの前に樋口監督とお話する機会があって、相談しやすい空気を作ってくださる朗らかな方なので現場でもやりやすかったですし、話していて楽しかったです。

――撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

豊嶋 撮影スケジュールに余裕があったので、シーンごとにじっくり取り組むことができました。シリアスなシーンは緊張感を持って臨みましたが、カメラが回ってないときは常に明るい現場でした。スタッフさんも含めて皆さん仲が良くて、一つのチームという感じでした。

――柚月は映画の前半と後半で大きく変化していきますが、どんなことを撮影期間中は意識していましたか?

豊嶋 気持ちをオンでい続けるために、基本的には家には帰らず、ホテルに滞在していました。プライベートはいつも通り過ごしつつも、はしゃぎすぎないようにして。完全に役から離れてしまうと、役に戻るときにエンジンがかかりづらくなるので、バランスに気をつけていました。

――新幹線の車内シーンは実際に走っている車両でも撮影されたそうですね。

豊嶋 実際の新幹線に乗って往復したり、青森に前泊して帰りの便で撮影したりしました。短い期間で何度も新幹線に乗ったのは初めての経験でした。

――車内のセットはどのぐらいの大きさだったんですか。

豊嶋 大きな倉庫に1.5号車両分ぐらいのセットを作って、それをシーンごとに使いまわして撮影していました。自分が出ていないシーンは見ていなかったので、試写会で初めて全体像を知りました。倉庫は二つ借りていて、片方が仕度場で、片方がセット。何百人ものキャストとスタッフが仕度場に集まって、みんなでご飯を食べることもありました。

――実際の新幹線とセットの新幹線、それぞれで撮影する過程で集中力を持続する難しさはなかったのでしょうか。

豊嶋 同じ日にいろんなシーンの撮影を     詰め込むのではなく、重要なシーンは、そのシーンだけに集中するといった撮影でした。時系列もバラバラに撮っていて、クライマックスのシーンも早い段階で撮ったのですが、その都度、樋口監督とコミュニケーションを取っていたので、気持ちは作りやすかったです。