影山拓也が演じる優馬を好きになってもらいたい

――放映中のドラマ『私の彼が姉の夫になった理由』で秋田汐梨さん、高田里穂さんと共にトリプル主演を務めていますが、オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?

影山拓也(以下、影山) 昨年、ドラマ『Qrosの女 スクープという名の狂気』(テレビ東京)で初めて映像作品を経験させてもらったときに、「うわっ!これだ」という充実感があって。そこから約1年ぶりの作品だったので、素直にうれしかったです。トリプル主演という今までにない経験なので、新鮮な気持ちで楽しくやらせてもらいました。

――原作コミックを読んだときは、思わず2周したそうですね。

影山 あまり普段は漫画を読まないのですが、続きが気になって、あっという間に読み終えて。あまりの面白さに、すぐに読み返しました。ドロドロした愛憎劇で、人間の黒い部分が見えましたし、その黒い部分も、その人にとって何かしらの正義がある。相手の見えている部分だけが全てじゃないんだという勉強にもなりました。

――人気コミックということで、原作ファンも注目するドラマです。

影山 おこがましいですが、影山拓也が演じる優馬を好きになってもらいたい気持ちが強くて、それぐらいの熱量でやらせてもらっています。原作ファンの方々にも楽しんでもらえる作品ができたらいいなという意気込みで撮影に臨みました。

――原作の優馬は意識しましたか?

影山 めちゃめちゃ意識しました。優馬はクールなイメージで、普段の僕とはかけ離れています。クールに見せるために、声のトーンを落とすようにしましたし、優馬らしさを出しつつ、影山拓也にしかできないお芝居を見せられたらなと。あと一見クールだけど、酷いことをされても最終的には見捨てない優馬の優しさ、器の大きさを表現できたらなと思いました。

――監督から、優馬のキャラクターについて言われたことはありますか?

影山 「僕的にはクールな印象が強いのですが、どういう感じがいいですか?」と監督に相談させてもらったときに、「少し明るい要素があってもいいかもね」「好青年の感じが、より出たらいいと思う」と言っていただきました。監督には撮影中もアドバイスをいただいたのですが、特に受けの芝居のときの、表情の作り方が勉強になりました。今回は自分が何かを発するお芝居よりも、受けのお芝居が多いという印象があったので、どうすれば伝わるんだろうと考えることが多かったです。あるときに監督から、「自分が思っているよりも大きく、大げさに動いてみてもいいんじゃない?」と言っていただき、そこは普段の影山拓也を降臨させてもいいのかなと。僕はめちゃめちゃリアクションがでかいですから(笑)。ただ、緊張しちゃうと、なかなかできないんですよね。それに優馬ってこんな反応するかなという迷いもあって……。あくまで優馬だから、影山拓也がちらつくと、その塩梅が難しいんです。

――声のトーン以外で、具体的に意識したことは?

影山 あまり喜怒哀楽を出さないようにしました。優馬は医者ですが、あま感情を出し過ぎちゃうと、天真爛漫で、ただの明るい好青年にしか見えないのかなと。俯瞰で物事を見ているところがあるので、たとえば、まだ仲睦まじかった頃の愛子と紗栄子の関係性も、「微笑ましいなあ」「本当に二人は仲がいいよね」と口にするのではなく、心の中で処理をするというのは意識しました。

――姉妹のキャラクターについてどう捉えましたか。

影山 愛子は天真爛漫で、損得で物事を捉えていない。自分に素直でピュアな人柄という印象です。それが紗栄子にとって、鼻につくんでしょうね。紗栄子はお姉ちゃんでもあるし、頭も良い。だからこそ物事をいろんな角度から見過ぎちゃうんだと思うんです。物事を深く捉えてしまうから、自分自身を苦しめているのかなと思います。優馬は優し過ぎるがゆえに、愛子を一番に思っているんだけど、紗栄子のことも見捨てられない。優馬が自分のことしか考えない性格で、愛子と幸せになればいいやと思っていたら、紗栄子と結婚することはなかった。でも幼馴染みだから、どんな状況に置かれても見捨てられないんです。