思っていることが顔に出ちゃうところがえみかに似ている

――ドラマ『君がトクベツ』の撮影は、映画の後だったんですか?

矢吹奈子(以下、矢吹) 映画と同時進行でドラマの撮影をしていたんですが、先に撮影が終わったのはドラマでした。映画では若梅さほ子(畑芽育)と七瀬えみか(矢吹)の二人が、誰を好きなのかをお互いに勘違いしたままですが、今回のドラマでは二人の誤解が解けるシーンもありますし、遊馬叶翔くん(木村慧人)とえみかの恋模様もふんだんに描かれています。

――改めて、えみかはどういうキャラクターでしょうか。

矢吹 えみかも叶翔くんもお互いを一途に思っているけど、思いすぎているがゆえに上手く伝えられない不器用さがあって、お互いに似ている部分があるんですよね。えみかは、いろんな方から素敵と思われる人気者なのに、恋となると自信がなくなっちゃう部分がかわいらしいなと思いました。

――ご自身とえみかで似ている部分はありますか?

矢吹 思っていることが顔に出ちゃうところですね。自分で出しているつもりはないんですが、「今おなか空いているでしょう?」とかバレていることが多いです(笑)。

――えみかとさほ子だと、どちらに矢吹さん自身は近いですか。

矢吹 さほ子寄りですかね。ちょっと陰キャな部分も似ていますし、好きなことを話すときに早口になる、みたいなところも一緒です。

――原作のえみかは意識しましたか。

矢吹 原作と照らし合わせながらお芝居に臨んでいましたが、漫画のまんまやっちゃうと、実写だと印象が変わるところもあるんです。それに国民的女優と呼ばれるぐらいかわいい子なので、自分のビジュで大丈夫かなという心配もありました(笑)。だから中学生みたいなんですけど、紙に「えみかになれますように」と書いて部屋に貼っていました。幸田もも子先生が描かれたえみかの絵がインスタに上がっていたので、そういうのも保存して、原作ファンの方にもえみかっぽいと思ってもらえることを目標に演じていました。

――今回のドラマでえみかを演じる上で、どんなことを意識しましたか。

矢吹 ドラマでのえみかは、お仕事中にプライベートのことをリンクさせてお芝居しているシーンが多かったので、叶翔くんに対する気持ちや、叶翔くんに言われた言葉を思い出しながら演じていました。一応はプライベートとお芝居を分けるんですが、自然と素のえみかが出てきちゃうというか、人間味のあるところを意識しました。

――今回はコメディー要素の強い役ですが、えみかのポンコツぶりはどう表現されましたか?

矢吹 とにかく何にでも全力な子だなと思っていて、お仕事に対してもそうだし、叶翔くんに対しても、とにかく自分が今できることを頑張るんです。だから叶翔くんとのデートのときも、モテる女子の仕草を全部詰め込んで接するんですけど、それがバレてしまって、「普段のえみかちゃんじゃない」と思われてしまう。その不器用さがかわいいなと思いながら演じていました。

――えみかは国民的女優でありながら、実は男性と付き合ったことがありません。それなのに5話ではさほ子に恋愛指南をします。

矢吹 何に対しても全力だから、さほ子の相談にも乗ってあげたいという気持ちなんですよね。ずっと、えみかは芸能界でやってきているから、もしかしたらさほ子のように気を許せるお友達がいなかったのかもしれない。友達だからこそ全面的に協力してあげたいという気持ちで演じました。

――えみかが白目になるシーンも多いですね。

矢吹 映画は松田礼人監督、ドラマは浅野敦也監督と宮本秀光監督のお二人が監督されたんですが、細かい表情やコミカルな動きは、監督によっていろんな意見がありました。台本では「白目」となっていても、「白目以外の表情も見てみたいなあ」という監督もいらっしゃって。私も自宅で、いろいろなパターンを練習しました。

――どうやって練習をされたんですか?

矢吹 鏡の前で白目をやっても自分では見えないので、スマホのカメラで動画を撮って、怖くない程度に、面白かわいいぐらいの白目にしたいなと思って練習しました。映画で白目は一回だけだったんですが、ドラマでは何回か出てきて。監督に「もうちょっとこういう感じで」と言われていくうちに、練習とは違う表情になっていたので、もしかしたら本当にかわいくなくなっている可能性もあるんですが、そこも楽しみにしてください(笑)。