言葉は強いけれど、根底にある湊の美しさは意識して表現したかった

――ドラマ『セラピーゲーム』の脚本を読まれた時、どんな印象を持たれましたか。

NAOYA 恋愛だけではなく、家族愛や過去のトラウマを誰かとの出会いによって乗り越えていく過程も描かれていて。登場人物たちが、困難を愛の力で乗り越えていく姿に心を打たれました。そういう困難は誰もが経験することだと思いますし、僕自身も過去のことを思い返して、後悔することもありますが、いろんな方から愛されるべき作品だなと思いました。

――今回演じられた湊というキャラクターをどのように捉えましたか。

NAOYA 子どもから大人に成長していく過程で、いろんなことを経験して、「これはしたらだめ」「これはしていい」と自分の奥底にある感情を抑え込んでいくじゃないですか。でも湊は、そういう普段は表に出さないような感情を人に対して出すので、人間らしいキャラクターだと感じました。自分の気持ちに正直に生きていて、泥臭くて。でも繊細で、かわいげもあって素敵ですよね。普段から思っていることだけど、表に出すと嫌われると思って抑えているようなことを、平気で湊は口にしますが、それを静真は温かく受け入れてくれる。そんな二人の関係性も魅力的でした。

――湊は家庭環境にトラウマがあり、兄以外の人間を信用できません。

NAOYA 僕は家族が大好きで、湊とは育った環境も違うのですが、地元から上京した時のことを考えると、湊の寂しさは理解できます。家族と離れて、一人でいる時の孤独感はめちゃくちゃ分かりますね。

――湊のチャームポイントはどこだと思いますか。

NAOYA いろんな経験をして塞ぎ込んでしまって、壁を作って、乱暴な言葉使いをするけど、根底にある優しさが垣間見えるところがチャームポイントだと思います。

――湊を演じる上で気をつけたことはありますか。

NAOYA 原作の絵を見ると、仕草が綺麗で、立ち姿の線、話している時の姿勢や角度が中性的で美しいんです。言葉は強いけれど、根底にある美しさは意識して表現したいと思いました。

――立ち居振る舞いについて、監督から言われたことはありますか。

NAOYA 今お話ししたような湊の内に秘めている部分や、線が細くて綺麗な部分については、本の読み合わせの時から監督と話していました。僕自身が湊に近い仕草をすることが多いので、そこは普段の自分を取り入れてもいいのかなと。普段の僕がふわふわだとしたら、湊はキラキラにギラをプラスした感じですかね(笑)。

――湊を演じる上で難しかった部分はありますか。

NAOYA 普段、僕は「なんだよ!」みたいな強い言葉をあまり使わないんです。だから強めの言葉を使う瞬間の仕草や表情は研究しました。湊に近いキャラクターが出てくるドラマを見て、表情を学ぶこともありました。声のトーンもワンオクターブぐらい下げました。それに普段は関西弁なので標準語も難しかったです。

――第3話で、湊と静真は遊園地デートをしますが、撮影はいかがでしたか。

NAOYA 個人的にはすごく楽しかったのですが、湊があまり遊園地に行ったことがないキャラクターだったので、楽しい気持ちを抑えて、頑張って険しい顔をしました(笑)。

――湊はカメラマンですが、撮影する時の構えなどは研究されましたか。

NAOYA 現場にプロのカメラマンさんがいらっしゃったので、カメラの手入れの仕方なども含めて、指導していただきました。もともと写真を撮るのが好きで、iPhoneにも何万枚も入っているくらいです。だから撮るのは上手いほうだと思っていたのですが、やっぱりプロの方が撮る写真と僕が撮る写真では全然違っていて、もっと勉強したいと思いました。ただドラマの撮影を通じて少しは上達したかなと思います。

――NAOYAさん自身、静真に惹かれる部分はありましたか。

NAOYA もともとストレートだった静真が、周りの目を気にせず、一途に湊のことを愛しているところに惹かれました。ぶれないところが、かっこいいんですよね。