今までやってきたお芝居とは全く演出方法が違っていた
――主演映画『夜勤事件』への出演が決まった時の心境を教えてください。
南琴奈(以下、南) 苦手意識があって、ホラー作品を観たことがなかったんです。主演ということでお話をいただいて、もちろんうれしかったんですが、「私にできるのかな……」という不安のほうが大きかったのが正直なところでした。

――事前に永江二朗監督の過去作品はご覧になりましたか。
南 クランクイン前に観ようかなとも思ったんですが、あえて観ないという選択をしました。観てしまうと、監督が欲しがっている画などを意識してしまい、この作品以外のことを考えてしまうかなと思ったんです。
――脚本を読んでどんな印象を受けましたか。
南 「夜勤事件」のゲームをプレイしたことがなかったので、どんな内容かも分からなかったんですが、ゲームとは違った映画オリジナルの展開がラストシーンにかけて描かれていて。もちろん怖いですけど、映画的に面白いなと思いました。
――ホラー作品ということで、演じる上で意識したことはありますか。
南 今までやってきたお芝居とは全く演出方法が違っていて。たとえば、後ろに人がいると感じて振り向くシーンでも、すぐには振り向かないんです。後ろに人の気配がいることを感じた表情を作って、少し間を置いて、素早く振り返るんです。ナチュラルではないんですけど、ホラー映画ならではの「間」があって。観てくださっている皆さんが、その間によって、「今後ろにいるんじゃないか」とか「そっちに行かないほうがいい」とか、いろんなことを考える大切なものだと永江監督に教えていただきました。撮影中に違和感はあったのですが、余計なことは考えずに、永江監督の仰ったことを、どれだけ上手くできるかを意識して撮影に臨んでいました。

――怖がる演技の塩梅はいかがでしたか。
南 すごく難しかったです。一番は呼吸感ですね。カットが変わるたびに、一から同じところまでテンションを上げなきゃいけないのが大変でした。一人での芝居が多かったので、緊張感を途切れさせないようにするのも難しかったです。永江監督が「ここはもっと緊張感がある」「もっと張り詰めた感じがいい」と的確なアドバイスをくださって、ありがたかったですね。
――ゲームが原作ということで、撮影技法も独特でした。
南 私がプレーヤーとなって、頭にカメラをつけて実際に撮影していたんです。だから下を向く時も、ちょっと大げさに向かないといけなかったり、全部の画角がちゃんと映るように素早く振り返ったり。お茶を飲むシーンも、カメラの位置を意識しなくてはいけなくて。あと体を張って逃げたり叫んだりするシーンが多かったので、体力的にもしんどかったです(笑)。
――今回演じた女子大生・田鶴結貴乃との共通点はありましたか。
南 全くなかったです(笑)。共通点で言ったら、お母さんの存在が大事なことくらい。私はバイトもしたことがないので、いろんなことが初めてで手探りでした。完全に結貴乃を理解してクランクインしたというよりは、現場を重ねていくにつれて、掴んでいったという感覚が近いです。
――主演としてのプレッシャーは?
南 主演はお芝居に対してだけではなく、周りのスタッフさんやキャストの方とのコミュニケーションや、視野の広さも必要だなとプレッシャーも感じました。今までご一緒した主演をやられている俳優さんの現場でのあり方を思い出してやっていたんですが、結局は自分のことに集中してしまって……。そこは反省点でしたが、作品に対しては一生懸命できました。
