“光”と“影”を意識した歌詞
――ミニアルバム「スポットライト」のアートワークがとても素敵ですが、大原さんからの要望や意見も取り入れられていたりしますか?
大原櫻子(以下、大原) とても素敵な衣装とメイクを用意していただきました。タイトルが「スポットライト」ということで、華やかさが欲しかったのと、可愛らしさと綺麗さ両方を取り入れたいとお話しました。私もすごく気に入っています。
――6月末にリリースされたデジタルシングル「JUMP」が収録されていますが、こちらの楽曲はどの様な想いが組み込まれていますか?
大原 作詞を高橋久美子さん(ex チャットモンチー)にお願いさせていただきました。10周年イヤーの幕開けということで、一緒に駆け抜けてくれたファンの皆さんへの感謝をこめた楽曲にしたいと思いました。日の光が当たらない様な日にも、私の太陽でいてくれる皆さん、皆さんは太陽の様な存在ということを改めてお伝えしたくて作りました。ライブも声出し解禁になって、一緒に歌ったり、踊ったり、ジャンプしたりして、この曲でたくさんのワクワクを取り戻したいです。
――聴いているだけでワクワクする楽曲ですし、ライブで聴いたらその楽しさもひとしおですよね。
大原 ありがとうございます!ツアーで披露した時に、回を重ねるごとに一緒にジャンプしてくれる方も増えてきて、すごく楽しいです。みんなが一瞬にして笑顔になれる曲だなと思っています。
――アルバム「スポットライト」のコンセプトや制作で目指したことを教えてください。
大原 10年間の間に、楽しかったことや綺麗ごとだけではなく、悲しかったことや辛かったこともたくさんありました。その努力してきた道のり、時間を私の声で表現したいと思いましたし、歌詞の内容も“光”と“影”を意識しています。明るく聴こえるメロディーにすごく切なさが混じっていたり、二面性、二つの気持ちにフォーカスしていきました。
――色々な発見がありそうなアルバムですよね。それぞれの楽曲で特に印象的なものはありますか?
大原 身近なスタッフさんとも何度も話して、決めさせていただきました。私はレコーディングした後はライブ前の練習まであまり聴くことが無いんですね。優業の仕事が立て込んだりする事が多いので。でも、「寂しいの色」はシンプルに歌詞に救われる自分がいて、しょっちゅう聴いています。大人になっても、“寂しさ”って日常のふとした時に感じると思うのですが、そんな時にこの曲を聴くと泣いてしまうくらい素晴らしい歌詞だなと思います。最初に聴いた時は自分が歌っていることが想像出来なかったんですね。作詞作曲の多田慎也さんがレコーディングした仮歌を聴かせてもらった時に、男性が歌っていることもありますし、これまでの私の曲に無いメロディーラインだったりして新しさを感じました。新しさと私らしさが一番つまっている曲だと思います。
――大原さんの綺麗な歌声が切なくて、とても素敵だなと思いました。でもおっしゃるとおり、新鮮に感じるファンの方も多そうですね。
大原 ここまで“寂しさ”を歌った曲って無かったと思うのですが、一番人が救われるのはこの感情なのかも、と思って。声色も消えてしまいそうな、でも優しさもある様なものを要求されたことも。いつも応援してくださっている方が聴くと、すごくエモく感じてくれるのではないかと思います。レコーディングでも、言葉がよく聴こえる様にしゃくりを少なくしたり、ストレートに歌ってみたりとか、本当に喋っている様に、伸ばす音をあえてスッと消したり。「記憶の迷路に佇む昨日の私」という歌詞の部分は、聴き直してからもう一度録り直しをお願いさせていただいて。「何か歌うよりも、もっと話すような、語りかけるようにしたいな!」と納得がいかなかったり、「私」の「し」にもっと切なさがあっても良いな、など色々とこだわっています。
――今度ライブで披露してくださった際は、言葉の最後の音までしっかりと味わいたいですね。
大原 ライブのアレンジがどの様になっていくのかはこれからですが、そこでドキッとさせる曲だと思うので、私も楽しみにしています。