ターニングポイントになった舞台と、舞台のやりがい
――もともと皆さんはアイドルグループで活動していましたけど、いつぐらいからお芝居に興味を持ちましたか。
入山 私は18歳のときに、『青鬼』という映画で主演をやらせていただいて、みんなで一緒に作品を作り上げる環境がすごく楽しかったんです。ただ当時はグループを卒業したら芸能界を辞めてもいいと思っていて、映画を観るのが大好きだったので、スタッフとして映画に関わっていきたい気持ちのほうが強かったんですよね。でもドラマや舞台の仕事が増えていくうちに、どんどんお芝居への興味が強くなっていきました。
関根 私は5歳ぐらいからテレビの中の人に憧れがあって、キラキラした世界やお芝居に興味がありましたし、「なりたい」というよりは「なるものなんだ」と思っていました。芸能界に入ったのは高校1年生のときなんですが、グループに所属していたので、なかなかお芝居をやることはできませんでした。でも事務所の方には、ずっとお芝居をやりたいとお伝えしていました。
神志那 HKT48時代に、初舞台に立たせてもらったときに、お芝居の楽しさを知ったんですが、本格的にやってみたいと思ったのは2回目の舞台で『ロミオとジュリエット』のロミオ役を演じさせていただいたときです。ちょうど同時進行で『PRODUCE 48』という韓国の音楽専門チャンネルとAKB48グループによる公開オーディション番組があって、どちらに参加するのかスタッフさんと話し合ったんです。『PRODUCE 48』にも行きたかったんですけど、ロミオ役に決まるかもしれないというお話も聞いていたので、舞台を選んで。それがお芝居の道へ進もうと思った大きなきっかけでした。
――舞台でターニングポイントになった作品を教えてください。
関根 主演を務めさせていただいた舞台『新サクラ大戦 the Stage』です。その前から原作ものの舞台はやらせていただいてましたが、女の子だけの舞台は珍しいですし、歌と踊りとお芝居と殺陣が全部あって。しかも主演として、真ん中で殺陣をしながら歌ったり、お芝居をしたり。歴史があって愛されている作品に、そういう形で関われたことはうれしかったですし、今でもその舞台をきっかけにお仕事が決まることもあります。
入山 20歳のときに演劇プロジェクト「タクフェス」の舞台『歌姫』に出させていただいたんですが、初舞台で初ヒロインをやらせていただいたんです。正直、それまでは絶対に舞台をやりたくなかったんですよ。自分が2時間分のセリフを覚えられると思えなかったし、目の前で観ている人に審査されると思ったらすごく怖くて……。実際、マネージャーさんにもやりたくないですとお伝えしたんですが、やらなかったら後悔するかもと思って。それで挑戦した結果、すごく成長できたし、もっと舞台をやりたいと思うきっかけにもなったし、むしろ映像よりも舞台のほうが好きぐらいの感情になれたし。今後、グループを卒業したときに、お芝居で生きていこうと思えた作品でした。
神志那 私は先ほどもお話した『ロミオとジュリエット』ですが、最近の舞台で言うと、『麗和落語~二〇二三夏の陣~』です。その舞台で、「空知らぬ雨」という落語を20分間、一人でやったんです。座布団の上に座って、一人九役、あっち向いてこっち向いてでしゃべりっぱなし。いつもの舞台だったらセリフが飛んでも、誰かが助けてくれますけど、自分一人だけなので、これができたら何でもできる!という気持で臨みました。
――どんなときに舞台のやりがいを感じますか。
神志那 ファンの方から感動したなどと感想をいただいたときに達成感を感じます。舞台には伝えたいメッセージがあるので、それがちゃんと届いたと実感できたときにやりがいを感じます。
入山 お客さんの声が届いたときもそうですし、コロナ禍でエンタメ業界全体が何もできない時期を経験してから、改めて芝居が打てるようになって。足を運んでくれるお客さんがいるという環境に感謝しましたし、改めてありがたみや幸せを感じました。
関根 幕が開いて、舞台をやりきって、皆さんから拍手をいただいたときに、「無事にここまでこられたんだ」と幸せな気持ちになります。ライトを浴びながら皆さんにお辞儀をするという感動は、他では味わえないですし、いつもその瞬間は「絶対に覚えておこう」と思います。
Information
ノサカラボ 神津恭介シリーズより
『呪縛の家』
【公演日】
東京:8月26日(土)〜9月3日(日)サンシャイン劇場
福岡:9月16日(土)・17日(日)キャナルシティ劇場
大阪:9月21日(木)〜24日(日)サンケイホールブリーゼ
【出演者】
林一敬(ジャニーズJr.)
濱田龍臣 手島麗央(ジャニーズJr.)
入山杏奈 神志那結衣 関根優那 賀集利樹 福室莉音
岡田達也/内海光司/片岡鶴太郎(特別出演) 他
原作:高木彬光『呪縛の家』(光文社文庫)
演出・構成:野坂実
脚本:須貝英
音楽:村井邦彦、上野耕路
大伯父の舜斎と三人の又従妹が奇怪な死を遂げる予感がする。できるなら神津さんと一緒に来て欲しい……。旧友の卜部鴻一からの手紙を受け、松下研三は八坂村を訪れる。その旅の途中で怪しげな男と出会い、「今宵、汝の娘は⼀⼈、⽔に浮かびて殺さるべし」という卜部家への予⾔を告げられる。その夜、舜斎の孫娘のひとりが浴槽の中で死体となって見つかった。この事件を発端に連続殺人の幕が開く。はたして神津恭介はこの凶事の連鎖を止めることができるのか……。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMSA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI