スーツアクターと二人三脚でキャラクターを作り上げた『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

――中学生で芸能界に入って、大人の中でお仕事をする環境はいかがでしたか。

石川 最初はしゃべることすらできなかったんですけど、お芝居にのめり込んで、いろんな作品に出させていただく中で、みなさんからかわいがってもらって。「分からないことがあったら聞いてよ」と優しい言葉をかけてくださるので、やりやすい環境でした。デビュー当時から現場に恵まれていましたね。

――俳優でやっていこうと決意したのはいつ頃ですか?

石川 小さい頃からサッカーに打ち込んできたんですけど、上手い人たちは早くからクラブチームに入ってプレーをしている。そんな中で僕は学校にも行かない時期があって、ずっと続けて来たものがなくなってしまった。一度挫折してしまった僕が、お芝居をやらせてもらえるようになって、これを手放したらまた何もなくなる。明確にこれというのはないんですが、そんなこともあって、徐々にお芝居でやっていきたい気持ちが明確になっていきました。あと中学卒業後の進路を考えるときに、芸能活動ができる学校を選んだのも、大きな選択でした。

――同じ高校で芸能活動をしている人たちにライバル意識はありましたか?

石川 あるにはあったんですけど、あまり気にし過ぎちゃいけないなと。当時から売れている人もたくさんいたので、素直にすごいなと思いましたし、参考にもしていたんですけど、その人になりたい訳ではない。他人と比べるのも大事なことですけど、あまり比べ過ぎちゃうと心も折れてしまうし、きりがないじゃないですか。人それぞれにやり方もありますし、自分なりのやり方を模索していました。

――昨年3月から今年2月まで放映された『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、「戦隊ヒーローらしくない戦隊ヒーロー」として、あまり戦隊ヒーロー作品を観ない層にも評判になりました。石川さんは桃谷ジロウ / ドンドラゴクウ・ドントラボルト役を演じましたが、どんなことが印象に残っていますか。

石川 スーツアクターさんと二人三脚でキャラクターを作り上げていったことですね。僕の演技に対して、スーツアクターさんがそれに合わせた動きをしてくれて。逆にスーツアクターさんが先に戦闘シーンを撮影したときは、「こういう感じで行きたいんだ」と意図を理解してアフレコをして。二人で一人のキャラクターを大事に作り上げるのは楽しかったですね。

――そのほかにターニングポイントになった作品は何でしょうか。

石川 昨年公開された映画『高津川』です。撮影自体は、もっと前に行われたんですが、僕が最年少で、錚々たる大先輩に囲まれてのお仕事でした。1ヶ月ぐらい泊まりで撮影をして。初めてのことをたくさん経験した現場で。演技のこと、大先輩との関わり方、監督やスタッフさんとの接し方、現場での過ごし方など、手取り足取り皆さんが教えてくださって。特に主演の甲本雅裕さんは、いつも気にかけてくださって、ご飯にも連れて行ってもらいました。今でもロケ地の風景が鮮明に思い出せるほど、思い出深い作品です。