亜美と私は読書好きなところが似ている

――映画の主演が決まった時の気持ちをお聞かせください。

下尾みう(以下、下尾) 初めての全国ロードショーの映画出演、しかも初主演ということで、本当にできるのかなという不安な気持ちと、初めてのことに挑戦する楽しさの両方を感じました。

――本作は、現代日本を舞台とした高校生のラブストーリーと、中世のヨーロッパの世界をシンクロさせた二層構造が特徴です。下尾さんは太田亜美とボールドゥールという一人二役を演じられました。

下尾 高校生の亜美は小さい頃から本を読むことが好きな子で、亜美がヴィクトル・ユーゴーの『美男ペコパンと悪魔』を手に取ることで中世ヨーロッパの物語が始まりますが、私も読書好きなので、亜美とは重なる部分があり演じやすかったです。演じることが決まってから、改めて本を持ち歩き、できるだけ読むようにしました。一方で、ボールドゥールは普段と口調が違うので大変でしたし、糸車を廻すシーンがあったので、糸車の使い方を習いに行きました。その時に3時間、ずっと糸車をまわし続け、糸を紡いだんですが、作った毛糸で編み物をするつもりです。

――編み物の経験はあるんですか?

下尾 編み物は8歳くらいの頃におばあちゃんに習ったことがあるんですけど、もう忘れちゃったかも(笑)。

――最近はどんな本を読まれましたか?

下尾 K-POPが好きなので、K-POPに関するエッセイを読んだりしています。K-POP評論家の古谷雅之さんとたまたまお仕事したのをきっかけに、古谷さんのエッセイ本を購入したら面白くて、そこからエッセイ本にハマりました。以前は、ファンタジー小説を読むことが多かったです。

――本はスマホで読むんですか?

下尾 本屋さんに行って「面白そうだな」と思った本を買って読むことが多いです。

――書店に行くんですね!本がたくさん並んでいるシーンはどこで撮影されたのですか?

下尾 渋谷のカフェです。プライベートで行きたいくらい本当に素敵なカフェで、夢のような場所でした。

――撮影はいつ行われたのですか?

下尾 去年の7月です。川のシーンは栃木県で撮影したんですが、蝉の声が入ってしまうので音声さんが大変そうでした(笑)。鳴いてない時を見計らって撮りました。

――特撮部分の撮影現場はご覧になりましたか?

下尾 見ました!めちゃくちゃ緻密なのに作りがしっかりしていて、素敵すぎてビックリしました。この映画は、映像不可能と言われていたダーク・ファンタジーの世界観を、最先端技術を使って表現したところが肝なんです。造形アーティストさんたちが手がけたクリーチャーたちがリアルに動いているところも、すごいなあと思いました。

――CG撮影も多いので、台本では分からないことも多そうです。

下尾 多かったですね。撮影期間中、雨がよく降ったので、雨がやむまでの時間に、いろんな人とお話しをして、意見交換しながら理解を深めるようにしていました。

――交通事故に遭い昏睡状態になった恋人の青木隼人(阿久津仁愛)を、亜美が見守る病院のシーンが印象的でした。

下尾 初日に撮影したシーンで、私にとっては初めての映画撮影でした。ずっと私一人で喋っているシーンだったから、阿久津さんは本当に寝ていたと思います(笑)。