画面越しには映らない感情を感じ取ってもらえたらうれしい

――隼人と亜美がデート中などに交わす会話は、本物の学生カップルを見ているような自然な感じがしましたが、セリフは台本通りですか?

下尾 「ドーナツ買ってきた」とか「かき氷を食べに行こう」とか、細かいところはアドリブが多かったです。だから生っぽさが出たのかと思います。今振り返ると、食べ物の話しかしてないですけどね(笑)。

――W主演の阿久津さんの印象はいかがでしたか?

下尾 お会いする前は、ハッキリした顔立ちをされているので「怖そう」という印象がありました(笑)。2.5次元俳優としても有名な方ですし、テレビでも活躍されているので、勝手に近寄りがたいイメージを抱いてしましたが、実際にお話をしてみたらとても気さくな方で。私から「こっちのほうが演じやすいと思います」と提案すると「じゃあそうしよう」と、意見を聞いてくださり、柔軟に対応していただけたので初共演とは思えないほど演技がしやすかったです。一歳差で年が近いというのもあるかもしれません。

――現代のシーンで共演したのは同世代の役者さんが多いですが、現場の雰囲気はどうでしたか?

下尾 とにかく現場は明るかったです。特に、裕二役の遠藤健慎さんは底抜けの明るさで、いらっしゃるだけで現場がパッと明るくなりました。

――中世ヨーロッパのパートでは、下尾さんのナレーションが重要な役割を果たします。ナレーションはいかがでしたか?

下尾 「ゾンネック家」とか、「城主の息子である」とか、普段は口にしないような言葉が多かったので苦労しました。もともと滑舌がいいほうではないので、頑張って口をパクパク動かしました(笑)。

――明瞭なナレーションでしたよ!特殊メイクはいかがでしたか?

下尾 完成するのに3時間ぐらいかかったんです。お芝居的にも一番頑張ったところかもしれません(笑)。

――改めて、読者に映画の見どころをアピールしてください。

下尾 亜美もボールドゥールも、画面越しでは伝えきれないさまざまな思いがあります。悲しんでいる姿や愛する人に会えた喜びを表しているシーンから、その思いを感じ取ってもらえるとうれしいです。