現場では役のスイッチをオン。普段のまるぴはいなかった
――まずは、本作に出演が決まった時の気持ちについて教えてください。
まるぴ これまでもミュージックビデオだったりショートドラマだったりの出演経験はあったんですけど、長編の作品でちゃんと役名もあってというのは初めてだったので、純粋にすごいうれしかったです。しかも、キャラクター性が強いというか、関西弁の女子高生という個性的な役で、ありがたいオファーだなって。私自身、演技のお仕事をさせていただきたいという気持ちは常々持っていたので、今後のキャリアの自信になりました。
――脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
まるぴ 私が演じた白木須椎羅は、自分に近い役だなって感じました。映画では椎羅ちゃんが少し良くないことをしてしまうシーンもあるんですけど、それもあながち分からなくもないというか、もしかしたら自分も同じことをして人を傷つけたりしてるのかもしれないなって。なので、十味さん演じる追川めざしちゃんの物語ではあるんですけど、椎羅ちゃんも一緒に成長していくという意味では、自分もそうやって成長していきたいなと思わせられる作品でした。
――ご自身の学生時代も、役柄に近い感じだったのでしょうか?
まるぴ そうですね、声は大きいタイプだったので。ただ、椎羅ちゃんはすごく周りにも愛されていて、天津乱漫で、たぶん根っからのポジティブだと思うんですけど、私はそこだけが唯一違う部分かもしれません。ポジティブではなかったので(笑)。でも基本的には似てるというか、私は海釣りじゃなくてバスケットボール部でしたけど、部活に注力していたという部分も近いので、役柄として愛しやすい部分はありました。
――映画初出演ですが、これまでの映像の現場とは違いましたか?
まるぴ これまでは台本や台詞がきっちりあるというよりは、ある程度の大枠のストーリーの中でまるぴとして自由に演技していいよという作品が多かったので、誰かになり切るという経験はなかったんです。なので、同じ演技のお仕事ではあるものの、全く別のジャンルなんじゃないかってくらい現場の雰囲気は違いました。気持ちの作り方も全然違って、撮影は1ヶ月くらいだったんですけど、現場では白木須椎羅スイッチをずっとオンにしていて、そこにまるぴはいなかった気がします。
――普段のまるぴさんとは切り替えていたのですね。
まるぴ はい。だから、撮影の間はずっと椎羅ちゃんになれていたと思うし、すごく集中できたんじゃないかなって思います。
――自分じゃないものになり切るというのは、どうでしたか?
まるぴ 普段だったらこんなボケできないとか、ちょっと恥ずかしいみたいに思うことも、椎羅ちゃんの時であればできちゃうし、あの現場では周りからも椎羅ちゃん扱いをしてもらえるので、ボケの練習になったかもしれないです(笑)。
――ところで、まるぴさんはものすごく滑舌が良いですよね。
まるぴ え、滑舌良いですか?ありゃ(笑)。
――その活舌の良さが役のイメージにもぴったりでした。
まるぴ 関西弁を喋る役だったんですけど、私は群馬県出身なので、そこはすごく苦労しました。でも、言葉の言い方をいろいろと思考した期間ではあったので、そのおかげで滑舌が良くなったのかもしれないです(笑)。
――なるほど。本作では、海釣りをされていますが、これまでに経験はありますか?
まるぴ ほとんどなかったです。特に海釣りに関しては、一度も機会がなかったです。ただ釣りが趣味という人をカッコ良いなと思っていたので、この作品を通して体験できたことはうれしく思いました。
――魚や虫エサに触るのも平気なほうですか?
まるぴ お魚自体は食べるのも触るのも全然大丈夫ですし、大好きなほうなんですけど、ただ、いかんせん虫が……。設定では、釣りが得意な椎羅ちゃんが教える側で、めざしちゃんが虫は苦手というタイプなんですけど、実際のところは私と十味さんは逆のタイプでして。十味さんはお魚が苦手で虫が平気、私はお魚が平気で虫がダメだったので、“実際の自分と真逆の役柄を演じる”という部分が一番苦しかったかもしれないです(笑)。