初の舞台『SHELL』で演じる咲斗は自分と似ている部分が多い
――11月11日から始まる『SHELL』は、石川さんにとって舞台デビューになります。オファーがあったときのお気持ちをお聞かせください。
石川 「よしよしよし!」という感じで、すごくうれしかったと同時に、初めての舞台ということで不安を感じました。なかなか実感は湧かなかったんですが、初めて会場のKAAT神奈川芸術劇場に行ったときに、「この大きな空間で、悔いがないようなお芝居をして、大勢のお客さんを満足させることができたら、どれだけ気持ちいいんだろう」と想像したらワクワクしました。
――冒頭シーンでは、恋愛要素も含んだオーソドックスな学園ドラマかと思えば、途中から予想の付かない展開が繰り広げられます。初めて脚本を読んだときの印象はいかがでしたか。
石川 「?」でした(笑)。独特の世界観で、すぐには理解が追い付かなかったです。でも、この舞台を観に来るお客さんは一回限りの方がほとんどだと思うので、ちゃんと理解して届けられるようにしなきゃいけないと、必死に台本を読み込んでいきました。
――石川さん演じる咲斗(さくと)は高校生で、女子生徒に囲まれた学生生活を送っていますが、どんなキャラクターでしょうか。
石川 普通の高校生と思わせる部分が多いんですけど、周りが女子しかいないのもあって、すごく発言が慎重で、思春期特有の言い回しも多いです。普段の咲斗くんは僕と似ている部分が多いんですけど、いかんせん僕はここまで女子に囲まれた経験がない(笑)。だから緊張もするんですけど、それを活かした素の反応もできるのかなと考えています。
――どういうところが咲斗に似ているのでしょうか。
石川 気持ちが顔に出ちゃうとか、思っていることが態度に出るとかは僕も同じです。あと何人かでいて沈黙があったときに、「この間、なんか嫌だな」って自分からしゃべりかけるみたいな、気まずい雰囲気に耐えられなくなるところも咲斗くんに似ていますね。
――普段、舞台を観に行くことはありますか。
石川 知り合いの舞台や、個人的に気になった舞台は観に行きます。
――最近観た舞台で、印象的な作品は何ですか。
石川 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でピンクのキジブラザーを演じた鈴木浩文さんの出演した劇団鹿殺しさんの舞台「ザ・ショルダーパッズ『この身ひとつで』」は衝撃でした。メインキャストの俳優さんは肩パット2枚を縫い合わせただけの世界最小衣装で、肩パットで股間を隠して、紐で固定しているだけなんです(笑)。「オズの魔法使い」をアレンジした作品だったんですけど、その衣装でも何となく服装が見えてきたり、めちゃめちゃ背が高くて髭を生やしている男性が女性役をやっているのにかわいく見えてきたり。どんどん違和感がなくなって、改めて舞台って不思議な空間だなと思いました。
――最後に『SHELL』で楽しみにしていることをお聞かせください。
石川 子どもの頃から目立つことや、みんなの前に立つのが大好きだったので、初めての舞台は本当に楽しみです。ステージから見る大勢のお客さんが入った景色は圧巻だと思いますし、みんなで力を合わせて稽古して、最高の舞台を作り上げたいです。
Information
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『SHELL』
【東京公演】
日時:2023/11/11(土)~2023/11/26(日)
会場:KAAT神奈川芸術劇場<ホール>
【京都公演】
日時:2023年12月9日(土)15:00開演、10日(日)13:00開演
会場:京都芸術劇場 春秋座
作:倉持裕
演出:杉原邦生
音楽:原口沙輔
出演:石井杏奈 秋田汐梨
石川雷蔵 水島麻理奈 成海花音 北川雅 上杉柚葉 キクチカンキ 香月彩里
近藤頌利 笠島智 原扶貴子
岡田義徳 他
とある高校の放課後の教室。そこには生徒の未羽(みう)、希穂(きほ)、咲斗(さくと)と数名の友達たち。彼らは、突然学校に来なくなった松田先生について、そしてこの学校の問題について度々話し合っている。ある日、未羽は通りがかったビルからマネキンが落ちてくる現場に遭遇する。そのマネキンを抱きかかえていたのは中年男の高木だが、未羽には高木でもあり希穂の顔にも見えるという不思議な体験をする。同じ人間がいくつもの<顔>を持っている。それは、一部の者だけが知っている世界だったのだが、未羽にはそれを見抜く力があった。希穂たち以外にも、いくつもの<顔>をもっている人々が分かる未羽。様々な登場人物たちがうごめく中で、顔を見抜けて「絶対他者」を繋げてしまう未羽、顔を持つ人々、そして全く分からない人々との間に、摩擦が生じていく……。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:MARINA IMABAYASHI,STYLIST:MIZUKI IRI