アイドル時代と変わらず「自分らしくいられる環境」に感謝と喜び
――歌と曲を作ること、好きな思いに差はありますか?
矢作 差はないかな。歌が先で、こだわりから曲を作るようになったので。幼い頃から歌が好きで、7つ年上の姉と『アナと雪の女王』の主題歌をよくハモっていたんです。音楽への興味は父の影響も強くて、一緒にレンタルショップへ行き、お年玉で購入したiPodに「マイケル・ジャクソンを入れなさい」と言われた記憶もあります(笑)。
――(笑)。子どもの頃のお話が出ましたが、小学校ではどのように過ごしていましたか?
矢作 卒業文集では「お笑い芸人になりそうランキング」、「芸能人になりそうランキング」で1位に選ばれました(笑)。めちゃめちゃ陽キャで、休み時間になったらすぐ校庭に向かって。ありきたりな遊びをしたくなかったので、自作のゲームで友だちと遊んでいました。
――アイドルになったのは中学3年生。それまでの学校での過ごし方は?
矢作 中学2年生で一度オーディションに落選して、中学3年生でグループに加入しました。小学校では「女として見られない」と言われ続けたけど、卒業直前に髪を切って「意外とかわいくない?」と言われてから女子力がアップしたんです(笑)。中学ではその流れでメイクに目覚めて、おしゃまな女の子でした。陸上部のマネージャーも少しだけ経験して、その後、所属した英語部では、放課後に字幕付きの洋画をひたすら見ていました(笑)。
――(笑)。グループ加入による、価値観の変化もあったのかと。
矢作 元々、内気なタイプだったんです。でも、人としてたくさんの方に評価される芸能界に入ってから、変わりました。自分で決めた自分のイメージに徹するのがアイドルのお仕事だと思っていて、グループ時代の経験も、今の活動で役立っています。
――シンガーソングライターとしてのやりがいは?
矢作 思うとおりに自分を表現できるのは、やりがいです。でも、自分らしくいられる環境は、アイドル時代と変わりません。EPの初回限定盤に付くフォトブックでは、撮りたい衣装やカットも自主的に提案できたし、周囲の協力もあって活動できています。
――この先、チャレンジしたいことも伺いたいです。
矢作 誰かに曲を書いてみたい。作曲を勉強した「コーライティング」では経験があるんですけど、世に出る曲として、他のアーティストさんが歌ってくださるときの感覚を知りたいんです。自分の曲では、周囲からの目線が気になり「深く書きたいけど、私が歌うとなると…」とためらう瞬間もありますし、誰かを想って書けば、視野が広がるかもと期待しています。
――最後、セカンドキャリアに進んだ経験者として、メッセージもいただければ。
矢作 次へと進もうとしている人の中には、「急がなきゃ」「早く次を決めなきゃ」と焦り、切羽詰まっている方も多いと思います。でも、走ってきたぶん休憩しないと疲れちゃうし、頑張った自分をいたわりながらほどよいペースで進んでほしいです。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO