汚れ方も美しい、コントラストのある俳優に惹かれる

――キャリアについてお伺いします。小学生の頃はサッカーに打ち込んでいたそうですね。

藤原 本気でやっていました。小学生の間に東京都代表になれたら、中学になっても続けようと決めていたんですが、区の代表までしか行けなかったので、サッカーは辞めました。中学ではバスケ部に入ったんですけど、中学3年生で事務所に入ったので、そこからは芸能活動が中心です。

――なぜバスケを始めようと思ったんですか。

藤原 たまたま親戚が『SLAM DUNK』を全巻プレゼントしてくれて、それが面白くて始めました(笑)。

――お芝居には昔から興味があったんですか。

藤原 映画を観るのは好きだったんですけど、実際に自分が俳優になろうとは思っていなかったです。

――映画を観るようになったきっかけは?

藤原 母親が映画好きで、小さい頃から映画館に連れて行ってもらったんです。『風立ちぬ』(13)を観たときは、泣き過ぎて具合が悪くなっちゃって、サッカーの練習に行けなくなりました(笑)。

――古い映画もお好きなんですよね。

藤原 そうですね。母親にお勧めされた映画を観るところから始まって、事務所に入ってから、勉強するために意識的に古い映画を観るようになりました。映画のパターンって出尽くしていると言われますが、だったら様々な映画のスタイルを観たいと思って、どんどん掘り進めていったんです。僕は料理にしても、「素材の味を楽しんでください」みたいなシンプルなものが好きなんですよ。

――たとえば、どんな監督に惹かれたのでしょうか。

藤原 70年代80年代の映画が好きで、中でもクエンティン・タランティーノ監督やスティーヴン・スピルバーグ監督に惹かれて。二人とも過去の映画を踏襲しつつ、現在に落とし込んでいるんですよね。それで過去の作品を辿ったり、役者さん繋がりで辿ったりと、いろんな方法で昔の映画を観ています。

――どういう俳優が好きなんですか?

藤原 リヴァー・フェニックス、ロバート・デ・ニーロ、レオナルド・ディカプリオなど、顔も美しいんですけど、汚れ方も美しい、みたいな。何か世の中に不満があって、どこか蔑んだ目をしているけど、そこが美しくて。陰があるから陽があるみたいな、そのコントラストが美しい方々です。

――この世界に入って映画の見方も変化しましたか。

藤原 すごく変わりました。作り手として、こういう風に撮るんだとか、カメラワークはこうなんだとか、より観ていて楽しくなりました。

――撮影現場でも、そういう風に俯瞰で見ることが多いんですか?

藤原 この世界に入ったばかりの頃は子供だったので、単純に「プロフェッショナルってすっげえ!」というところから始まったんですが、徐々に「こういうアングルなんだ!」とか、いろいろなことに目が行くようになりました。