「中川はヒモの役が似合ってる」という感想もいただいた

――役に関してはどのように作り上げていったんですか?

中川 監督と現場で話し合いながら作っていきました。でも、台本に書かれていることだけだとなぜ結婚したくないのか、一緒にいたい理由は何なのか、考えていることがわからないところもある。そういった価値観の部分を僕ははっきりさせたいんですけど難しいというか……。

――それはどのように解決したんですか?

中川 監督に「どういうことなんですかね?」と相談したら「康彦自身もわかってないんだよ」と。漠然と嫌な気持ちがある、もう何を考えているのかわからない役なんだと。それから2話、3話と撮影が進んでいくうちに、ようやくその何を考えているのかわからない康彦という人物の核となる部分を見つけることができたので、今はより演じることが楽しいです。

――ホラン千秋さん演じる志織との恋人関係、同棲生活についてはお互い演じる上でどういったやり取りをされましたか?

中川 恋愛のシーンが多いので、ホランさん自身の恋愛観を知りたくて、「恋人を演じる上で、怒ったらどんな感じになりますか」「年下と付き合うことに抵抗はありますか」とか、そういうことを聞いて、役に落とし込めるものは積極的に取り入れています。あと基本的にホランさんと一緒の現場なんですけど、役以外の話だとホランさんのお仕事の関係上、ニュースにとてもお詳しいので時事の話題が多いです。「インボイスって何ですか?」みたいな質問をしたり(笑)。

――実際に完成したドラマをご覧になられた印象はかがでしたか?

中川 もう「面白い!」の一言です。あのテンポ感と、登場人物の絶妙な憎たらしさと愛らしさの中に、心温まるようなシーンがある。やっぱり金子さんの脚本が素晴らしいなと改めて思いました。あと、キャストの掛け合いに関しては、バランス感が絶妙で台本上だとお互いに結構ひどいことを言い合っているんです。でも、それが怒りではなくほどよいラインで面白いに変わる。その流れもすごいなと。

――SNSなどでドラマの感想を見ていると配役を絶賛しているコメントも多いので、中川さんの共通点も含めて、完璧なキャスティングだったんだと感じます。

中川 僕もコメントをいただいたりするんですけど、「ヒモの役が似合ってるね」という感想もあったりしました(笑)。

――そういえば康彦の初登場シーンでは、真っ暗な部屋で西村京太郎さんの小説を読まれていましたが、中川さんご自身はどのようなものを読まれていますか?

中川 三国志関連や『竜馬がゆく』などの歴史小説が好きなので、普段はそういったものが多いです。最近は村上春樹さんの『街とその不確かな壁』を少しずつ読んでいます。

――このドラマが今後どうなっていくのか、中川さんご自身も楽しみなところがあると思うんですけど、これから観ようとしている方に向けて、どんなところに注目して観てほしいですか?

中川 康彦の話だと志織と結婚するのかどうか、です。志織はウェディングプランナーという仕事をしているから、結婚式というイベントはどこかで出てくると思っているんですけど、そのときに志織の隣にいるのが康彦なのか、それとも違うのか、その二人の関係性や康彦の変化についても注目して観ていただけたらなと思います。