同性が憧れる30代を目指して準備を重ねていきたい
――去年は何度も事務所のワークショップに参加したそうですね。
山谷 前から事務所でワークショップを開催しているのは小耳に挟んでいたんですが、そもそも私は十代の頃、レッスンとかが苦手だったんです。レッスンを受けることも何度かあったんですけど、現場で実践勝負したほうが得るものが多いと思って、ワークショップは通っていなかったんです。ただ年齢を重ねるにつれて、どうやら後輩がたくさんいることを知って。確か去年の頭だったんですが、仲の良い後輩からワークショップをやっていると聞いたんです。下の年代の子たちが集まってやっているけど、上の世代も入ったほうが、ワークショップの意味も上がるんじゃないのかなと3、4回行かせていただきました。結果、すごく楽しいです。
――どういうところが楽しいんですか。
山谷 たとえば、最近あった幸せなことや、うれしかったことを、みんなの前でスピーチするんです。一番下の子だと13歳ぐらいで、うれしいこととして学校であったエピソードを話していて、中学生のリアルを聞くってすごく面白いんです。普段生活していて、中学生の子と話す機会もないじゃないですか。もう私には戻れない過去ですし(笑)。あと、その子たちに気を遣われているのも感じて。もともと自分が気を遣う側だったのが、気を遣われる側になったのも、ちょっと面白くて。挨拶にしても、これまで自分が最初に行かないといけないと思っていたのが、逆に待たないといけないんだなという気づきもあって。勉強をたくさんさせていただいています。
――どんな気持ちで後輩たちを見ているんですか。
山谷 自分も経験してきたことだから、緊張する側の気持ちはめっちゃ分かります。だから、「よくぞ来たね」って感じ。あと後輩が思っているよりも、先輩って何も考えていないんだなということを知りました(笑)。
――ワークショップに参加している後輩で共演経験のある方はいましたか?
山谷 同じ事務所の子たちとお芝居する機会はほとんどなくて。ワークショップで会っていたら、他の現場で会ったときに、最初の気遣いを省いて入れるので、お互いに良いことなのかなって。そもそも私は3歳下の妹がいるから、年下と接するのは得意なんですよね。
――後輩とのコミュニケーション以外で、ワークショップで得られるものは何でしょうか。
山谷 外部で映画やドラマを撮っている演出家さんが来てくださるので、そこのご縁もありますし、一度も現場に行ったことがない子もいて、先生方が「お芝居って楽しいんだよ」ってところから教えてあげている姿を見ると、心に刺さります。いろいろな人が集まるので、人間観察の場だと思っています。なので無理がない程度に、通うようにしています。
――昨年は朝ドラの「らんまん」(NHK)や清水くるみさんとW主演を務めた「親友は悪女」(BSテレビ東京)を始め、たくさんのドラマに出演。今お話を聞いたように加圧トレーニングやワークショップにも通うようになって、いろんな変化があった年ですね。
山谷 やったことないことばかりで、毎日サプライズみたいな日々を送っていて変化だらけでした。ただ、これが自分にとって最後の大きい変化なのかなとも感じていて。変化があるときって自分もびっくりするし、動揺もします。適応するまでに時間がかかるから、居心地も悪かったりするんです。ただ時間が解決してくれるというか、少しずつ環境も落ち着いてきて、今年はいろんな経験も自分のものにする一年にしたいなと思っています。
――具体的に今年やっておきたいことはありますか。
山谷 もっと自分のために時間を使いたいなと思います。30代に向けての体作りもそうですし、もう1回食事なども見直したいですね。あと女性に寄り添うようなお仕事もしたくて、同性が憧れる30代を目指して準備を重ねていきたいです。
――お忙しい日々の中で、リフレッシュ法ってありますか?
山谷 私にとっては本を読むことがリフレッシュする時間です。ミステリー系の作品を中心に読んでいて、好きな作家は住野よるさんと湊かなえさん。
――お二人の小説でオススメの作品を挙げるとしたら何でしょうか?
山谷 住野さんだったら『か「」く「」し「」ご「」と「』。5つの章で構成されていて、それぞれの役割があって、この世界が成り立っているんだなというのが感じられて面白かったです。湊さんだと最近読んだ『カケラ』が面白かったですね、美容整形のお医者さんが主人公のお話なんですけど、人によって美の価値観は違っていて、どう心の美しさを判断するのかみたいなことが書かれているんです。文章を書く仕事をするようになってから、なるべく小説を読むようにしているんですが、私は絶対に紙で読む派で。ページをめくるという行為が大切だなと思いますし、デジタルから離れて、物語に没入できるって最高の娯楽なんですよね。
Information
「新空港占拠」
日本テレビ系にて毎週土曜22:00~
「彼女と彼氏の明るい未来」
MBSドラマ特区枠にて毎週木曜0:59~
山谷花純
1996年12月26日生まれ。宮城県仙台市出身 みやぎ絆大使。2007年、エイベックス主催のオーディションに合格し、翌年ドラマ『CHANGE』でデビュー。ドラマ『あまちゃん』『手裏剣戦隊ニンニンジャー』『FIAST CLASS』、舞台『ヘンリー八世』などに出演。18年、映画『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』では末期がん患者役に丸刈りで臨み注目される。その後、映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』(蜷川実花/19)や、ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK大河/22)、『親友は悪女』(主演/BSTX/23)、『らんまん』(NHK朝ドラ/23)、『アイドル誕生 輝け昭和歌謡』(NHKBS/24)などに出演、今後の活躍が期待される若手女優。主演映画『フェイクプラスティックプラネット』がマドリード国際映画祭2019最優秀外国語映画主演女優賞を受賞。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:石川ユウキ(Three PEACE),STYLIST:髙橋美咲(Sadalsuud),衣装クレジット:ドレス:Seivson ピアス、チョーカー、リング:PLUIE ブーツ:Re:EDIT