お芝居を始めたきっかけはスーツアクターになる夢が破れたこと

――キャリアについてお伺いします。大河さんは2005年に舞台で俳優デビューしますが、いつ頃からお芝居に興味を持ったんですか。

大河 もともとは、仮面ライダーだったり、戦隊ヒーローだったり、ヒーローの中の人をやりたかったんですよ。こまっしゃくれていたのか、変身した後は違う人が入ってアクションをしているのを子どもの頃から理解していて、それをやりたかったんです。いわゆる“ごっこ遊び”の延長線上をやりたかったんでしょうね。そういう意味で言うと、物心ついたときから、このお仕事を目指していました。

――スーツアクターになるために、実際に行動したことなどはありましたか。

大河 いろんなことやっていました。今考えれば“ごっこ遊び”の延長かもしれませんが、自分なりに練習はしました。それで高校生のときに、アクション俳優などを育成する養成所の見学とレッスンがあったんです。その情報を見つけた瞬間に電話して、実際に参加したんですが、レッスンが終わった後に講師の方とお話をさせていただいて。「生まれ持っての体の柔らかさがないとスーツアクターはできないよ」と言われたんです。あまりにショックで泣きながら東京の街中を走っていました。それが人生初の挫折でしたね。

――見学なのに、ハッキリ言うんですね。

大河 今考えると、そういう言葉を投げかけられても、諦めないかどうかを試していたのかなと思います。この世界に入ってから、裏でアクションを支える方々とお会いする機会もあるので、そのときの話をしたら、「体が固くてもできるよ」と言われましたから。まあ、そういう運命だったのかなと思いますし、その方々から「こうして会えて一緒に仕事もできるから良かったじゃん」みたいなことを言っていただいて、うれしかったですね。

――そのときにスーツアクターの夢はすっぱり諦めたんですか?

大河 しばらく抜け殻状態になっていたら、友達が「こういうのがあるから応募してみたら」と教えてくれたのが、劇団のオーディションで。それに合格して養成所に入って、俳優の道を目指し始めました。それからは学校を突然休んで、東京に行ってオーディションを受けに行くこともありましたし、高校時代の僕の行動力はすごかったと思います(笑)。

――今スーツアクターをやりたい気持ちはありますか。

大河 ないです(笑)。いろんな現場で一緒にお仕事をさせていただく機会もあるので、近くでアクションを見させていただくんですが、プロフェッショナル過ぎて、今から急にやろうってできることではないですね。たくさんの訓練を積まれた方々がやっていることなので、今やろうなんて僕が言ったら失礼になってしまうなと。

――お芝居には最初から抵抗がなかったんですか。

大河 なかったです。そこも子どもの頃、がむしゃらにやっていた、ごっこ遊びが役に立ったんでしょうね。作られた世界に入り込むことに抵抗はなかったですし、最初から恥ずかしさもなかったです。むしろ何をやっても許される楽しい場所だなと思いました。