『ぶっちぎり?!』の現場は声優もスタッフも熱量がすごい

――『ぶっちぎり?!』の主人公・灯荒仁(ともしび・あらじん)役はオーディションで決まったそうですが、何か印象に残っていることはありますか。

大河元気(以下、大河) オーディションの資料にセリフの抜粋が載っていたんですが、「ドーテー捨ててぇ~!」って荒仁のセリフが書いてあって。その部分をオーディションで思いっきり演じたら、音響監督の方が「そういうこと」と言ってくださったんです。

――「そういうこと」と言うと?

大河 このセリフは必殺技とかそういうものではない。自分の願いを純粋に叫ぶものだから、「そういうこと」だと。その言葉に手応えを感じたので、合格したと聞いたときはうれしかったですし、そのときのうれしい気持ちのまま、アフレコに臨んでいます

――オーディションで音響監督の方から、そういう声がかかることってあるんですか。

大河 ないです(笑)。

――イメージ通りで思わず声が漏れたんでしょうね(笑)。初めて台本を読んだときの印象はいかがでしたか。

大河 本当にこれは今のアニメなんだろうかと。懐かしいというか、昔僕らがテレビで見ていたアニメの最新作を見ているような感じがしたんですけど、完成した作品を見ると、新しさもある。懐かしさ、新しさなど、見ていていろんなことを感じられる作品ですね。

――正統派ヤンキー作品の要素もありつつ、そこに「千夜一夜」を結び付けたり、多彩な音楽がバックに流れたりと、今の要素も散りばめられていますよね。大河さんはヤンキー物の作品は好きでしたか?

大河 マンガでもアニメでも映画でも、ヤンキー物の作品を見るのは好きでした。だから、「よし!頑張って戦うぞ」と思ったら、荒仁自身は何もしないんですよ(笑)。他のキャラクターが真っ向勝負で戦っている姿を見ると羨ましいです。

――多彩なキャラクターが多数登場して、バトルシーンも多いですけど、どういうふうにアフレコを行っているんですか。

大河 コロナ禍で収録形態が変わった中、まだ分散収録もあるんですけど、『ぶっちぎり?!』に関してはある程度キャストが集まって収録していて。しっかりと掛け合いもするし、バトルシーンも本当に戦っている感覚で演じているので、キャスト同士で熱量を高め合っていくのが楽しいです。

――現場の雰囲気の良さが伝わってきますね。

大河 声優陣もそうですし、スタッフさんの熱量もすごいんです。本番前にテストで通しをやった後、スタッフさんサイドで会議みたいなことをするのですが、僕ら声優が録っているアフレコスタジオから、スタッフさんのいるミキシングのブースが窓ガラスを通して見えるんです。スタッフさんが話し合いをしているとき、声は聞こえないのですが、なんて楽しそうなんだろうと。その表情から面白いものを作ろうとしてくださっているのが伝わってくるので、長くても気にならないですし、現場全体に一体感があるんですよね。

――荒仁にはどんな印象を持っていますか?

大河 言葉を選ばずに言うならば、フラストレーションの溜まる子です。「お前が主人公だろう」「お前が何とかしなきゃ駄目だろう」っていうときに、逃げてしまう子なんですよ。

――確かに前半では煮え切らないというか。

大河 そうなんです。本当に主人公かと。なんだったら真宝や摩利人の方が動いているところが多くて、「一体なんなんだ……」という思いを抱くキャラクターなんです。だからこそ、先の展開にすごく期待してしまうんです。荒仁一人だけでは駄目で、千夜(※荒仁に取り憑く自称マジン)がいて、まほろという荒仁が思いを寄せるクラスメイトがいて、かつて親友だった浅観音真宝(あさみね・またから)がいる。そういうキャラクターたちと接することで、主人公らしく成長してほしいなと強く思います。

――荒仁に共感する部分はありますか。

大河 僕自身は荒仁ほど真っ直ぐじゃないんです。だって往来のど真ん中で「ドーテー捨ててぇ~!」って叫べないですよ(笑)。その真っ直ぐさが羨ましいですね。

――荒仁と千夜の掛け合いも最高です。

大河 千夜役のこばたけまさふみさんとは、楽しく掛け合いをやらせていただいています。僕が投げたパスを綺麗に受け取ってくださいますし、「それが欲しかった!」というパスを投げてくださいます。

――最初のほうのアフレコの時点で大体のヴィジュアルは完成していたんですか?

大河 はい。ラフのところもありましたが、綺麗な絵で録らせていただいたので、スタッフさんはこういう音が欲しいんだというのが分かりやすい状態で演じることができました。たとえば走っているシーンだったら、どういう表情で荒仁が走っているのかがよく分かります。目的地に到着して、一息入れたときに、どういうことを思っているのかまで分かるので、すごく助けられました。バトルシーンにしても、パンチを止めながら蹴りを出そうとしているところまで細かく描かれているんですよね。なので完成したアニメを見たとき、「思った通りのシーンになっている!」と感動しました。

――どのキャラクターも個性が際立っています。

大河 各キャラクターが、どういうタイプなのか、どういう動きをするのか分からなかったんですけど、それが勢揃いしたときに、もっと分からなくなりました(笑)。ただ本編を初めて見たときに、「なるほど。ハチャメチャでいいんだ」と思いました。

――後半もハチャメチャさは加速していくのでしょうか。

大河 そうですね。ハチャメチャなまま、どういう最後を迎えるのかを見届けていただきたいです。