二人の恩人に教えてもらったことが、今も心の支えになっている | lecca 「長い抑圧の時代を経て、自分で自分を解放してあげたかった」 INTERVIEW

二人の恩人に教えてもらったことが、今も心の支えになっている

――先ほどスクールでボイストレーニングをしたと仰っていましたが、そもそも歌うことは好きだったんですか。

lecca　むしろ人前で歌うのがつらくて、いつも加藤さんからライブに出る前に「胃薬を飲め」と言われていました。緊張とストレスで胃が痛かったんですよね。それぐらい人前で歌うのが苦手だったんですけど、25歳ぐらいのときに、自分が作っている曲がすごく変わっていることに気づいて、変な曲しか書いていないな。誰かに歌ってと言えるような曲じゃないなと思って、これを世に出すんだったら、自分で歌うしかないのかなと思ったところで覚悟が決まりました。

――自身を持って歌えるまでに紆余曲折があったんですね。

lecca　インディー時代は加藤さんに教えてもらって、その後、エイベックスにお世話になって、加藤さんから離れて柳さんに教わって。このお二人に教えてもらったことが、今も心の支えになっていて。結局メジャーデビューから3、4年はかかったと思うんですけど、お二人の教えがあったからこそ、自分が作るもの、自分が出していくものに自信を持つことができるようになりました。

――それからは胃薬も必要がなくなって？

lecca　そうですね（笑）。あと大きかったのは「ジャパンスプラッシュ」にマーシャ・グリフィスというジャマイカのシンガーが出演したときに、前座をやらせていただいたんです。そこでPANGちゃんとMEGARYUと一緒に挨拶をさせていただいたときに、「どうしてもライブで緊張しちゃうんで」というお話をしたら、「1曲でいいから、みんなが知っている曲、みんなが歌いたい曲、みんなが一緒に踊れる曲ができたら変わるわよ」と言われて。その言葉に深く納得して、「よし曲作りを頑張ろう」と思いました。あとMINMIさんを始め、フェスで一緒になった先輩方たちが温かくアドバイスをくださっていたので、そこにも助けられました。ガチガチに緊張している新人たちに、「お前、誰だよ？」ではなく、「今日は楽しんでね」と言ってくれる先輩たちばかりだったので、すごくライブを楽しめるようになりました。

――メジャーデビューして曲作りでの変化はありましたか。

lecca　ありましたね。インディーの頃はリソースが少なくて、自分で全部曲を作って、エンジニアさんと二人でレコーディングとミックスをやってと手探りに近い状態でした。でもエイベックスでは、トラックメーカーやミックスエンジニアを始めプロの方々が揃っていて、こんなことまでできちゃうんだと世界が一気に広がりました。しかも私の作る曲の世界観を大切にしてくれていたので、本当に守られてやってきたなと思います。

――最後に5月からZeppツアー『lecca LIVE TOUR 2024 “LIBERTY ERA”』が始まりますが、どんな内容にしていきたいですか。

lecca　アルバムの名前を冠したツアーライブも、Zeppツアーも久しぶりなので、しっかりとアルバムを表現できるものにしたいなと思う気持ちもありつつ、7年ぶりにZeppでやらせていただけるツアーということで、これまで来られなかった方も足を運んでくれると思います。先日、エイベックスの先輩に誘われて、テイラー・スウィフトのライブを見させていただいたんですが、すごくゴージャスなショーで。みんなが知っている過去の曲でも、当時とは違う景色や感情を与えられることに気づかされたんですよね。テイラーさんのライブを見せてもらう前は、あまり古い曲は歌わなくてもいいのかなと思っていたんですけど、今まで歌ってきた曲も大切にしたライブを考えています。

PHOTOGRAPHER：TOMO TAMURA,INTERVIEWER：TAKAHIRO IGUCHI