年を取ることってそんなに怖いことじゃないのかもしれない

――3月6日に発売となりましたMajor 2nd Full Album『weekday』のコンセプトを教えてください。

ゆいにしお 『weekday』というタイトルは、そのまま翻訳すると“平日”という意味で、カレンダー上の月火水木金土はお仕事や育児や介護など、みんなそれぞれ色の平日があると思います。そんな休みの日以外の過ごし方にフォーカスを当てて、聴く人の普段の日常がもっと豊かになるといいなという願いを込めて作りました。

――今回は楽曲ごとに多彩なアレンジャーを起用していますね。どのような基準でオファーされたのでしょうか?

ゆいにしお 『weekday』ということで、まず平日に馴染む音ってどんな感じだろうということを考えたんです。ビート感が強かったり、ラフな感じがあったり。あまり音数の多い派手な方向よりは、デイリーユースしやすい音を模索しながら、今までお世話になった方や公演でご一緒した方とタッグを組みました。

――1曲目の「TWO HANDS」もそうですが、今回は20代後半という年代に意識を向けられた曲がありますね。ゆいにしおさんの中でも 1st アルバム『tasty city』(2022)の20代前半の頃と現在で意識の変化はありましたか?

ゆいにしお 20代前半は年を取ることに悲観的になっていたところがあります。子どもの頃は、20代といったらもっとちゃんとした大人になっていると思い込んでいたから、こんな体たらくじゃどうにもならないかもしれないなって(笑)。今振り返ると、20代前半はコロナの影響もあって友達になかなか会いづらくて、メンタル面も含めて辛い時期だったなと思います。コロナが収束して少しずつ行ける範囲も広がって、いろんな人に会って話を聞く中で、年を取ることってそんなに怖いことじゃないのかもしれないと思うようになりました。それまで苦しみに耐えることしかできなかった自分が、20代後半になって、だんだんと苦しみすらもスパイスだと感じるようになってきたんです。それから自然と歌詞も前向きになっていきました。

――「routine life」は第1期に続いて、TVアニメ「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」第2期のオープニングテーマに起用されましたね。

ゆいにしお まず、アニメの第2期が制作されるということ自体がうれしかったです。第1期のときは初めてのアニメタイアップだったこともあって、毎週リアルタイムで楽しんでいたので、すごく思い入れのある作品なんです。オープニングテーマ続投のお話をいただいて、第1期のときに作った曲がたくさんの人に届いたんだと感じました。

――アニメのオープニングテーマを担当されることによってこれまでとは違った反響はありましたか?

ゆいにしお 圧倒的に海外のリスナーさんが増えました。YouTubeで公開している「息を吸う ここで吸う 生きてく」のMVは8割くらい海外の方のコメントかもしれません。

――8割ってすごいですね!

ゆいにしお アニメ放送時期にやったインスタライブでも半分以上が海外のリスナーさんで、日本人のファンの方も英語でコメントをし始めていて面白かったです(笑)。

――タイアップ曲を作るときはどんなことを意識されていますか?

ゆいにしお 普段の自分の作品だったら一から自分の物語を中心に作りますが、原作の雰囲気は絶対壊さないようにしたいと思っています。やっぱり緊張感はありますが、自由に伸び伸びと作らせていただきました。

――4月からはワンマンツアー「clap your two hands!」が始まりますね。

ゆいにしお 1年ぶりのワンマンライブです。ロングセットでゆったりとできるので、普段やらないようなニッチな曲もやりつつ、聴きごたえのある内容にできたらなと思います。ツアーは5人のバンド編成になるのですが、もう2年ぐらい一緒にやってきて、だんだんと仲良くなってグルーヴ感も高まってきたので、ライブはもちろんMCも面白い感じになるんじゃないかなと。

――ライブではどんなところにこだわっていますか?

ゆいにしお 自分の歌声をちゃんと最後まで届けたいので、途中で歌えなくなったりしないように体力作りをしています。ライブ中のパワーバランスを考えながら、とにかく最後まで歌い切ることに一番重点を置いているかもしれません。

――体力作りはどんなことをされるんですか?

ゆいにしお 本当に運動が苦手なんですが、ジムで走っています。動きながら歌っても歌声がブレないように体幹を鍛えているんです。

――改めて『weekday』の聴きどころをお聞かせください。

ゆいにしお いろんな曲があって幅広いアルバムになっていますし、歌詞を見ていただくと「あるある!」とか「こういう瞬間好きだったな」って思うような瞬間がきっとあると思います。日記代わりに歌詞も見ながら聴いていただけたらと思います。