現場で出会ってきた役者さんは魅力的な方ばかり

――キャリアについてお伺いします。学生時代はバスケに打ち込んでいたそうですね。

豊田 プロバスケットボール選手になりたかったんですけど、高校で燃え尽きてしまい、大学でも何となくバスケット部に入ったんですが、以前のようなやる気は出ませんでした。それで自分は何をしたいんだろうと考えたときに、たくさん選択肢を出して、その一つに役者があったんです。

――役者に魅力を感じたきっかけの作品はあったんですか。

豊田 高校時代に観た映画『溺れるナイフ』(2016)です。当時は自分が役者をやるなんて考えていなかったですけど。

――2019年、「第34回MEN’S NON-NO専属モデルオーディション」をきっかけに同誌の専属モデルになります。なぜ役者ではなくモデルのオーディションだったのでしょうか。

豊田 芝居経験が全くなかったですし、芸能界という将来の保証がない世界でやっていくためには、MEN’S NON-NOの専属モデルオーディションに合格することが、自分が通用するかどうかの切符だと思っていたんです。もともと『MEN’S NON-NO』自体も好きでしたし。

――現役MEN’S NON-NO専属モデルは、豊田さんのように俳優としても活躍している方が多いですが、ライバル心はありますか?

豊田 最初は全くなかったです。みんなが売れれば一番いいと思っていました。その気持ちは変わらないですけど、今はみんなの素敵な芝居を目の当たりにすると悔しい気持ちもあります。そうやって切磋琢磨することで、役者人生に良い影響を与えるのかなと思っています。

――俳優デビューした2019年に、「じゃない方の彼女」で連続ドラマ初出演、その翌年には『レッドブリッジ / レッドブリッジ ビギニング』で映画初主演と順調なスタートを切ります。

豊田 当時は芝居のことが全く分からなくて、具体的に自分の何が悪いのかも気づけなくて、辛い日々でした。経験を重ねていくうちに、少しずつ演じることの楽しさも分かってきました。何より僕が出会ってきた役者さんは魅力的な方ばかりなので、同じ空間で一緒に仕事できるのもうれしいです。

――お芝居のレッスンを受けたこともあるんですか?

豊田 何回か受けたんですが、やっぱり現場で学ぶことのほうが大きいんですよね。できても、できていなくても、まずはやる。そして学ぶ、それの繰り返しです。

――モデルでの経験が、お芝居に活きている面はありますか。

豊田 よく「服が似合うね」と言われます。先日も衣装合わせがあったときに、着替えて出て行くたびに、ウソなんじゃないかというぐらい盛り上がってくれました(笑)。僕自身、どんな服でも違和感なく着られるなという実感があります。演じるキャラクターが着る服によって、こういう立ち方で、こういう目線で物事を見てと考えることができるのはモデルをやっているのが大きいですね。