ターニングポイントになった映画『銀河鉄道の父』

――ターニングポイントになった作品を挙げていただけますか。

豊田 映画『銀河鉄道の父』(2023)です。芝居の神様だと思っている役所広司さんと、昔からドラマで観ていて『溺れるナイフ』の主演も務めている菅田将暉さんと共演することができて。キャリアも実力もあるお二人の演技を目の当たりにして、いかに自分はまだまだなんだと痛感しました。成島出監督からも、たくさんご指導いただいて、僕の演技が拙いばかりにご迷惑もおかけしたんですが、もっと頑張らなければいけないと身が引き締まったという意味でもターニングポイントになりました。

――俳優、モデルとお忙しい中、オフはどう過ごすことが多いですか。

豊田 基本はインドアなんですが、美術館や映画館に行ったり、美味しいご飯を食べに行ったりと、なるべく外に出るように心がけています。

――最近観た映画で印象的な作品は何でしょうか。

豊田 役所広司さん主演の『PERFECT DAYS』(2023)です。役所さん演じるトイレ清掃員の日々の繰り返しを描いた穏やかな作品で、こんな生活に憧れるなと思いつつ、観ていてリフレッシュできました。

――そのほかにリフレッシュするためにやることはありますか。

豊田 読書ですね。今は舞台の稽古期間中なので、あまり読めていないんですが、むしゃくしゃしているときに読書をすると、心が晴れるんです。僕はデジタルではなく紙で読むのが好きなんですが、電車移動中も読書をすることが多いです。

――最近読んだ中で面白かった本を教えてください。

豊田 町田そのこさんの『ぎょらん』です。人が死ぬときに残す赤い玉「ぎょらん」を巡る連作短編集で、ぎょらんを嚙み潰すと、その人の最後の想いを教えてくれるという内容で、温かい気持ちになりました。

――最後に改めて『ハムレット』の意気込みをお聞かせください。

豊田 観劇の醍醐味の一つに、お目当ての役者さんを観たいときに観られるというのがありますが、裏を返せば、一瞬も気を抜けないということ。今回、自分が出る立場になるということで、楽しみな気持ちもあれば、怖さもあります。稽古期間で、たくさん試して、たくさん失敗して。ゼロからなので失うものもないですし、みなさんに食らいついて、全力で自分なりのフォーティンブラスを作り上げていきたいです。

Information

彩の国さいたま芸術劇場開館30周年記念
彩の国シェイクスピア・シリーズ 2nd Vol.1
『ハムレット』

柿澤勇人 北 香那 白洲 迅 渡部豪太 豊田裕大 櫻井章喜 原 慎一郎 山本直寛 松尾竜兵 いいむろなおき 松本こうせい 斉藤莉生 正名僕蔵 高橋ひとみ 吉田鋼太郎

作:W.シェイクスピア
翻訳:小田島雄志
演出・上演台本:吉田鋼太郎

<埼玉公演>
日程:2024年5月7日(火)~26日(日)
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

<宮城公演>
日程:2024年6月1日(土)、2日(日)
会場:仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール

<愛知公演>
日程:2024年6月8日(土)、9日(日)
会場: 愛知県芸術劇場 大ホール

<福岡公演>
日程:2024年6月15日(土)、16日(日)
会場:J:COM北九州芸術劇場 大ホール

<大阪公演>
日程:2024年6月20日(木)~23日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

デンマーク王国では、2ヶ月前に王が亡くなり、先代の王の弟クローディアス(吉田鋼太郎)が王に即位。そして、先代の王妃ガートルード(高橋ひとみ)はクローディアスと再婚する。父の死の悲しみも冷めぬ間に母が叔父と再婚したことに、王子ハムレット(柿澤勇人)は憤りを抑えられずにいた。ある日、従臣から亡き王の亡霊が夜な夜なエルシノアの城壁に現れるという話を聞き、ハムレット自身も確かめに行く。父の亡霊に会ったハムレットは、父の死はクローディアスによる毒殺であったと告げられ、復讐を決意する。やがて、叔父クローディアスが父である王を暗殺した確かな証拠を掴んだハムレットは、王妃ガートルードとの会話を盗み聞きしていた侍従長ポローニアス(正名僕蔵)を、クローディアスと誤って刺殺してしまう。ポローニアスの娘で、ハムレットの恋人であったオフィーリア(北 香那)は、悲しみのあまりに正気を失い、川で溺死してしまう。ポローニアスの息子であったレアティーズ(渡部豪太)は、父と妹の仇をとろうと怒りを募らす。クローディアスはハムレットの存在を恐れ、復讐心を持ったレアティーズと結託してハムレットを剣術試合に招き、毒剣と毒入りの酒を使って殺そうと画策する。

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豊田裕大

1999 年4月10日生まれ。神奈川県出身。2019 年、MEN’S NON-NOオーディションに合格し、専属モデルとなる。2021年、俳優デビュー。2022年、『レッドブリッジ / レッドブリッジ ビギニング』で映画初主演。主なドラマ出演作に、「じゃない方の彼女」(テレビ東京)、「妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-」(テレビ朝日)、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(朝日放送テレビ)、「沼る。港区女子高生」(日本テレビ)、「それってパクリじゃないですか?」(日本テレビ)、「夫婦の秘密」(BS-TBS・BS-TBS 4K) 、主な映画出演作に『妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』(2022)、『銀河鉄道の父』(2023)、『推しが武道館いってくれたら死ぬ』(2023)、『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(2023)、『法廷遊戯』(2023)など。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:松田蓉子,STYLIST:杉浦 優
衣装協力:ジャケット5万5000円、パンツ3万3000円(ともにネフォロジスト/ネフォロジストhttp://nephologist.com/)、インナー8800円(フォルトゥナオム/ラッキージャパン03-6322-5268)