初めてのドラマ出演で撮影現場の楽しさを知った
――キャリアについてお伺いします。この世界に入ったきっかけは何だったのでしょうか。
仲吉 濱尾咲綺ちゃんも専属モデルを務めていた『nicola』を愛読していて。モデルの子たちがキラキラしていたので、いつか自分もやってみたいなと思っていたら、中学2年生のときにスカウトしていただきました。最初はモデル志望だったのですが、事務所で演技レッスンを受けていくうちに、お芝居も楽しいなと思い始めました。
――学校でも人前に出るのは好きなほうでしたか。
仲吉 好きなほうだったと思うんですが、より目立つことが楽しいと思うようになったのは、この世界に入ってからですね。小学生の頃は、外で鬼ごっこをしたり、ドッジボールをしたりと、スポーツや体を動かすことが大好きだったので、人前に出て何かするとかは考えていませんでした。
――部活はやっていましたか?
仲吉 中学では吹奏楽部に所属していて、パートは打楽器、主にドラムを担当していました。
――女子でドラムは珍しいですね。
仲吉 友達が小さい頃から楽団に入っていて、コンサートを観に行ったときにドラムがかっこよかったんですよね。音楽を聴くのも好きなので、何か音楽に携わることをやってみたいなと思って吹奏楽部に入りました。中学を卒業して、一度はドラムも辞めたんですが、高校2年生からスクールに通い始めて、今もドラムを叩いています。
――バンドを組もうとは思わなかったんですか?
仲吉 組みたいんですけど、他に楽器ができる子を集められなくて(笑)。再びドラムを習い始めたきっかけは、ドラムを叩く役のオーディションがあって、それを受けるにあたって、友達の紹介で先生を教えてもらいました。オーディションは落ちてしまったんですが、またドラムに巡り会えて良かったですし、いつか特技として活かせたらなと思います。
――もともとモデル志望で事務所に入って、いつからお芝居に注力しようと思ったんですか。
仲吉 初めての演技のお仕事が「病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜」というドラマだったのですが、初めて撮影現場に入って、メイクをしていただいて、カメラで撮っていただいてという一連の流れが楽しかったんです。事務所に入って1年も経っていなかったので、お芝居の楽しさというよりも、現場の雰囲気が好きだったんですよね。いろんな現場に行きたいなと思うようになってから、演技も頑張らなきゃいけないなと。それで積極的に演技レッスンに参加するようになっていく中で演技が楽しいと感じて、自分の中で、俳優でやっていこうと明確になっていきました。
――『水深ゼロメートルから』以外で、ターニングポイントになった作品は何でしょうか。
仲吉 初めての舞台『清らかな水のように~私たちの1945~』(2021)です。それまで映像作品の経験はあったんですが、出演シーンも短かったので、ちゃんと役作りをするのは初めてでした。戦時中の物語で、現在とはかけ離れた時代なので、どういう食事をしていたのか、どういう生活をしていたのか、戦争に直面してどんな感情だったのかなどを、調べるところから始めました。
特に印象的だったのが、みんなで円になって、崖の上に立っているシーンをイメージして、死にたくなったら一歩出るという時間があったんです。それで気持ちを作るんですけど、隣の子が一歩踏み出そうとしたら必死で止めたりして、みんな本稽古の前に大号泣しているんです。それぐらい役に入り込んでいるのですが、演技経験に乏しい私には、そこまで入り込むことができませんでした。でも同じことを2回目にやったときは、私も役に入り込んで涙が止まらなくなって。これが自分とは別の人生を演じることなんだと気づいて、演技の上でも勉強になりました。シリアスな内容でしんどいときもあったのですが、ポジティブな性格なので、そのポジティブさで何とか頑張っていました。
――今後チャレンジしたいことは何でしょうか。
仲吉 やりたい役で言うとヤンキーの女の子をやってみたいです(笑)。私はマーベル作品が好きで、特に『ブラック・ウィドウ』が推しキャラなのですが、アクションもやってみたいですし、強い女性を演じたいです。コメディも好きなので、コメディものにも挑戦したいですね。
――プライベートはいかがですか。
仲吉 今年、大学生になったんですが、高校は芸能学校に通っていて、融通がきいたので、お仕事と勉強の両立を頑張らなきゃなと思っています。
――なぜ大学に行こうと思ったんですか。
仲吉 英語を学びたかったんですよね。小さい頃から英会話を学んでいて、「中高生の基礎英語in English」(NHKラジオ)にもレギュラー出演させていただいたのですが、そのときに「英語の発音が良いから本格的に学んだほうがいいよ」と後押ししてくださった方がいたんです。せっかくなら大学で英語を学ぼうと思って進学を決めました。将来的には、ちゃんと英語を話せるようになって、いつか海外でもお仕事をしたいですね。
Information
『水深ゼロメートルから』
新宿シネマカリテ・下北沢K2ほか全国順次ロードショー
濵尾咲綺 仲吉玲亜 清田みくり 花岡すみれ
三浦理奈 さとうほなみ
監督:山下敦弘
脚本:中田夢花|脚本協力:小沢道成
原作:中田夢花 村端賢志 徳島市立高等学校演劇部
制作プロダクション:レオーネ|製作幹事:ポニーキャニオン|配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS
🄫『水深ゼロメートルから』製作委員会
高校2年の夏休み。ココロ(濵尾咲綺)とミク(仲吉玲亜)は体育教師の山本(さとうほなみ)から、特別補習としてプール掃除を指示される。水の入っていないプールには、隣の野球部グラウンドから飛んできた砂が積もっている。渋々砂を掃き始めるふたりだが、同級生で水泳部のチヅル(清田みくり)、水泳部を引退した3年の先輩ユイ(花岡すみれ)も掃除に合流。学校生活、恋愛、メイク……。なんてことのない会話の中で時間は進んでいくが、徐々に彼女たちの悩みが溢れだし、それぞれの思いが交差していく。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI