登山は自分と向き合える、瞑想みたいな感覚がある

――先ほど格闘技のお話がありましたが、どういうきっかけで始めたんですか。

佐藤 自分の身は自分で守れるようになろうと(笑)。そんな感じの理由で3、4年前に始めました。高校時代、一年だけやっていた時期もあったんですが、今は「EXFIGHT」というLDHが経営しているジムに通っています。主にトレーナーの岡見勇信さんに教えてもらっているんですが、格闘家の子たちと一緒にトレーニングしています。さすがに同じメニューではないんですが、軽いスパーリングだったりミット打ちだったり、たまに寝技を挑んでみたりしています。

――お芝居に活きている部分もありますか。

佐藤 作品によってはアクションもありますし、いつ体を動かしてほしいと言われるか分からないので、結果的に活きる機会もあるんですが、単純に体を動かすのが好きなので、休みの日は必ずジムに行きます。技が上達していくのが楽しいですし、競技を見る目線も深まりますし、仕事のためというよりは趣味ですね。

――今ハマっていることは何でしょうか。

佐藤 格闘技の他にボルダリングもやりますし、ちょくちょく登山もやっているんですが、直近でハマっていることで言うと、飲みに行くことです。ちょっと前まで舞台「鴨川ホルモー、ワンスモア」の稽古があったんですが、稽古終わりにご飯に行ったり、飲みに行ったりして、ああでもないこうでもないと話をして、「今日は楽しかったね」と言って帰るだけでいいんです。別に深い話を求めているわけじゃなくて、学校みたいな空気感というか、「また明日ね」って別れるのが大好きなんですよね。これが映像だと、翌日の予定はバラバラですけど、舞台はみんなが決まった時間に集まって稽古をしますし、それほど朝も早くない。だから予定も立てやすいですし、気兼ねなく誘うことができるんです。

――登山はどういうときに行くことが多いんですか。

佐藤 作品が終わったタイミングで行きます。

――いつ頃から始めたのでしょうか。

佐藤 コロナ禍の自粛期間中に、三泊四日でキャンプをしたんですが、すぐに飽きちゃったんです。そのときに登山でも使えるようにと、持ち歩きしやすいキャンプ道具を揃えたので、じゃあ登山をしようと思って始めました。毎年、1週間ぐらい山にいる期間があって、一昨年だったら白馬という山を4,5日かけて登って、麓でキャンプもしました。去年は一人でインド旅行に行って、北インドのラダックという山を1週間かけて登りました。登山は自分と向き合えるというか、瞑想みたいな感覚があるんですよね。

――ラダックは標高3,500mぐらいありますよね。ガイドは付けなかったんですか?

佐藤 けっこうなお金を取られますし、食料は自分で用意できるのでガイドは付けませんでした。一人で登っても安全なルートだったので楽しかったです。

――とはいえハードですよね。

佐藤 きつかったですね。48時間は市内から出られないので、そこで徐々に慣らしていったんですが、標高が上がった瞬間、高山病の症状が出て、途中で動けなくなったりもして。本当に息ができなかったんですが、薬も飲んでいましたし、なんとか登頂することができました。

――これからも海外で登山する気持ちは強いんですか。

佐藤 正直、そこまで世界中の山を登りたいみたいな気持ちはなくて。国内でも登ってない山がたくさんありますし、難易度の高い山も多いので、今年は幾つか日本の山を登れたらいいなと思います。

――最後に改めて『不死身ラヴァーズ』の見どころをお聞かせください。

佐藤 好きなものに理由はないですし、好きという気持ちって抑えられない、どうしようもない気持ちですけど、それがパワーを生むこともあると思うんです。なんでもかんでも近くに届くものがあるように感じてしまう世の中だからこそ、恋愛に限らず、人に会って熱い気持ちを伝えることの大切さを『不死身ラヴァーズ』を観て感じてほしいですね。

Information

『不死身ラヴァーズ』
テアトル新宿ほか全国ロードショー中!

見上愛 / 佐藤寛太
落合モトキ 大関れいか 平井珠生 米良まさひろ 本折最強さとし 岩本晟夢 アダム
青木柚 前田敦子 神野三鈴

監督:松居大悟
原作:高木ユーナ『不死身ラヴァーズ』(講談社「別冊少年マガジン」所載) 脚本:大野敏哉 松居大悟 音楽:澤部 渡(スカート)
主題歌:「君はきっとずっと知らない」スカート(PONYCANYON / IRORI Records)
©2024「不死身ラヴァーズ」製作委員会 ©高木ユーナ/講談社

長谷部りの(見上愛)は、幼少期に出会った少年・甲野じゅん(佐藤寛太)のことを“運命の相手”と信じて探し続けている。中学生になったりのは、後輩で陸上選手のじゅんを見つけて大喜び。勢いのままにマネージャーに名乗りをあげ、陸上競技会のチーム戦に挑むじゅんを支えながら、「好きに理由なんてない!」と熱烈に想いを伝えていく。りのの勢いに最初は戸惑っていたじゅんだったが、次第にその真っすぐな熱意に惹かれはじめる。しかし、やっと両想いになったその瞬間にじゅんは跡形もなく消えてしまう……。じゅんの存在自体が初めからなかったかのようにこの世界から消え、自分以外の誰もじゅんのことを覚えていない状況に、呆然としてしまうりの。その後も、りのは人生の中で何度も「甲野じゅん」を見つけては恋に落ちる。高校の軽音部で出会った先輩、登下校の際に見かけた車椅子の男性、バイト先のクリーニング店の店主――。どんな姿であろうとも、りのは“運命の相手”のじゅんを見つけては、恋に落ち、好きだと全力で伝えていく。それでも、やっと両想いになった瞬間、彼はこの世界から消えてしまう。想いが通じては消滅するという出来事を繰り返し、失意のどん底のりのだったが、側で見守り続ける親友の田中(青木柚)や、バイト先の先輩・花森叶美(前田敦子)たちの存在に励まされていく。大学生になったりのが出会ったのは、やたらと陽気で人との距離感がどこか変わっているじゅんだった。同級生たちに対しても饒舌で空回りする様子に違和感を覚えながらも、新歓バーベキューで二人の距離は縮まっていく。どうせ両想いになってもまた消えてしまうのではと、好きになることを躊躇するりのだった……。果たして、りのの「好き」は奇跡を起こすのか?“不死身の恋”を待つ、驚愕の結末とは――。

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佐藤寛太

1996年6月16日生まれ、福岡県出身。2014年に「劇団EXILEオーディション」に合格し、15年に「劇団EXILE」に正式加入。同劇団の公演「Tomorrow Never Dies 〜やってこない明日はない〜」(15/作・演出:上條恒)で初舞台を踏む。主な出演作に、『HiGH&LOW』シリーズをはじめ、初主演を務めた『イタズラなKiss』シリーズ(溝口稔監督)、『いのちスケッチ』(19/瀬木直貴監督)、『花束みたいな恋をした』(21/土井裕泰監督)、『軍艦少年』(21/Yuki Saito監督)、ドラマ「あせとせっけん」(22/MBS)、舞台「怖い絵」(22/作・演出:鈴木おさむ)、「サンソン-ルイ16世の首を刎ねた男-」(23/演出:白井晃)、『正欲』(23/岸善幸監督)、舞台「鴨川ホルモー、ワンスモア」(24/演出:上田誠)など。

PHOTOGRAPHER:YUTA KONO,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:Kohey,STYLIST:MASAHIRO HIRAMATSU(Y’s C)