映画美学校に通って脚本を本格的に学んだ理由
――現在、映画美学校に通っているんですよね。
小原 2年間通っていたんですが、あと数日で卒業です(※取材日は4月16日)。
――どうして、このタイミングで通おうと思ったんですか。
小原 去年、初めて脚本を担当した映画『いずれあなたが知る話』(2023)が公開されたんですが、ずっと脚本を書くことに興味があって。『いずれあなたが知る話』の撮影が終わったぐらいのタイミングで、本格的に脚本を学びたいなと思って映画美学校に通うことにしました。
――なぜ映画美学校を選んだのでしょうか。
小原 どの学校に行こうか迷っているとツイートしたら、映画美学校で講師を務めている佐藤佐吉監督がリアクションをくださって、これは行くしかないと(笑)。
――生徒の年齢層はどんな感じなんですか。
小原 バラバラです。オンライン授業なんですが、学生の方もいれば、60代ぐらいの方もいますし、現役でCMを制作している方や、プロとして脚本を書いている方などもいたので、私も特に違和感なく学べることができました。
――高校時代は演劇部で、当時も脚本を書いていたそうですが、昔から書くことが好きなんですか。
小原 好きですし、十代の頃から脚本と出演を二つの軸としてやっていきたい気持ちがありました。ずっと俳優メインでやってきたんですが、型にハマろうという気もなくて。どうしても俳優は(オファーを)“待つ”ことが多いんですけど、脚本は面白いものが書けたら、それを武器に、ご一緒したい監督に、「この脚本で私を撮ってください」と言いに行けるなという思いもありました。
――ずっと書くことは続けていたんですか?
小原 趣味では書き溜めていました。未完成のものも多いですけど(笑)。
――『いずれあなたが知る話』も書き溜めていた脚本の一つだったのでしょうか。
小原 新しく書いたものではあったんですが、執筆時点で発表する場が決まっていたわけではなく、とにかく完成させて売り込もうみたいな感じでやったので、映画の裏側の大変さを学びました。映画館にかけていただけるって貴重なことなんだと。だから脚本を書いた後のほうが大変でした(笑)。
――発表の場が決まっていない中で、どうやってテーマを決めたんですか?
小原 私と一緒に主演を務めてくれた大山大くんがプロデュースもしてくれたんですが、あるときに「子供が誘拐されて迎えに行かない母親ってどう思う?」みたいなことを話していて、「それ面白い!」と思って。その一言から母親役を演じたいと思って、脚本を書き始めました。どういう人物で、どういう人が周りにいて、どういう人生なんだろうみたいな感じで考えて書き進めました。
――自分が演じるために脚本を書くのは難しい作業なのかなと思うのですが?
小原 役作りとして、キャラクターのバックボーンを考えることはしてきたので、想像しやすいというか、書きやすさはありました。映画美学校に通い始めて、佐藤監督の授業で「自分が知っていることを書きなさい」と言われたので、そのやり方は間違っていなかったのかなと思います。
――映画美学校に通ってみていかがでしたか。
小原 勉強になることばかりですし、今までご一緒した監督などに映画美学校の話をすると、たくさん助言をいただけるので、すごく恵まれた環境にいるなと実感します。
――長年、俳優として多くの作品に携わっているから、脚本を書く上でアドバンテージがあるのでは?
小原 だといいんですけど(笑)。