ロリータファッションは女の子の願いを叶えた服装
――『ハピネス』が映画初主演となりますが、オファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか。
窪塚愛流(以下、窪塚) 映画初主演ということも驚きでしたが、メインキャストが豪華な方々ばかりで、「いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ!」とビビりました(笑)。うれしさよりも心配が勝っていたのですが、脚本を読み終えた瞬間、「やりたい!」と思いました。その上で、現時点での僕のお芝居レベルを見抜いた上で主演として選んでいただいているのだから、それを信じて、その期待に応えられるように全力で挑もうと前向きな気持ちになりました。
――脚本からどんな印象を受けたのでしょうか。
窪塚 事前にあらすじを聞いた時点で、絶対に悲しい結末で終わると思っていました。ところが脚本を読み終えたときは真逆の感情で、温かい気持ちになりました。悲しいストーリーではあるのですが、題名は『ハピネス』(幸福)という矛盾を、ちゃんと自分の中で落とし込みたいなと。こんな素敵な作品に主演として出演させていただけるなら、ビビるのは演じ切った後にしようと思いできる限り丁寧に演じようと思いました。
――窪塚さん演じる雪夫の恋人・由茉(蒔田彩珠)は、ロリータファッションをこよなく愛しています。ロリータファッションにはどんなイメージを抱いていましたか。
窪塚 一口にロリータファッションと言っても、幾つか種類があることぐらいは知っていましたが、その程度の認識で。正直、一般的な服装ではないので若干の偏見を抱いていました。ただ、この作品を通して、ロリータファッションについて学んでいくうちに、フリルを何枚も重ねて着るなど、お洋服単体では完成しないのが魅力の一つだなと感じて。男性からすると、プラモデルを組み立てる感覚に近いのかなと。そう考えると身近に感じられましたし、ロリータファッションは女の子の願いを叶えた服装だなと思いました。
――素人目に見てもこだわりが詰まっていますからね。
窪塚 由茉ちゃんを通してロリータファッションに触れたので、自分が好きなものに正直で、信念を突き通してやっているんだと感じました。だからこそ今はロリータファッションが魅力的に映ります。
――雪夫も大阪でロリータ風のファッションに身を包みます。
窪塚 まだ高校生なので大人になれていないけれど、その中でも大人になろうとしている背伸び感が、雪夫を強くしているところがあって、それがロリータ風のファッションをしたときの凛々しさに繋がっているのかなと思いました。ただ隣に由茉ちゃんがいたからこその凛々しさで、雪夫一人だと何も変わらなかったと思います。実際、僕自身のお芝居も服装で変化しました。
――ロリータ風ファッションで大阪の街を歩く感覚はいかがでしたか。
窪塚 僕は大阪で育ったので、二人がデートする道頓堀グリコサインもなじみ深くて、よく遊びに行く場所でした。ところがフリルの付いた服を着て歩くと景色が違って見えて、お芝居をしているということもあるのですが、初めて大阪に来た観光客になったような感覚になりました。