はじめまして。GANG PARADEのキャ・ノンと申します。これからこちらのSTREAMさんで連載を掲載させていただくことになりまして、自分のライブの日のことだったり、日常生活だったり、日々思っていることを徒然なるままに自由に書かせていただきます。

実は文章を書く大学に通っていたのですが、何にも活かせず終わってしまったらもったいないなとは思っていて、でもいかんせん体たらくな人間なので誰にも見られないようなnoteの記事をふたつほど書いては、まあいいかとまた何も書かない生活に戻ってしまっていました。そんなときにお声がけいただき、ふわっとした日々にひとつ、毎週締切という張りをいただきました。課題を出すときはいつも日付が変わる直前か変わったあとに提出して、卒業制作は11月のリリースイベントの一部と二部の合間に書いていたようなどうしようもないやつですが、どうか読んでくださるみんなの暇つぶしのひとつになったらいいなと思っているので、移動中でもさぼってるトイレの中でもご飯を食べながらでも読んでいただけたらうれしいです。投稿されない週があったらごめんなさい。これから何卒よろしくお願いします。

記念すべき連載一発目、今日はGANG PARADEのAVANTGARDE PARADE TOUR初日札幌公演の日のことを書いていこうと思います。

 

 

当日入りなのでこの日は朝4時半に起きた。早寝遅起きが基本のわたしにとって、早すぎる起床は胃の気持ち悪さだったり、片目が開かなかったり、身体の不調を伴う。なんとか顔を洗って、化粧水をばしゃばしゃとつけて、ときどき嗚咽しながら歯を磨く。みんなはリリイベとかライブの日とか、朝早い時間から並んでくれていて、本当にありがたいことだなと早起きするたびに実感させられる。

とりあえずの格好でなんとか家を出て空港に向かう。飛行機に乗ってしまえば北海道はあっというまだ。新千歳空港に到着して一歩外に出れば、東京とは比べ物にならないほど空気が澄んで、風の冷たさが心地よかった。わたしは北海道が好きだ。北海道に来るたびに、湿度も低くカラッとした涼しさに魅了される。

車に乗って会場に向かう。見慣れない景色をぼーっと眺めては、気付けばすっかり眠っていた。ツアーのライブ会場入り前にはコンビニに寄ってもらうのが恒例だ。しかし、北海道は特別。東京にはないセイコーマートに寄ってもらえることが楽しみのひとつだ。13人でぞろぞろとお店に入ると、大抵のメンバーはホットシェフのコーナーに一目散に向かう。例に漏れずわたしも、チキンにするかポテトにするか迷いながら、温かいショーケースの中に並ぶ商品を手に取った。わたしがいつも購入するのは鮭おにぎりとポテト。大きなおにぎりはライブ前に持ってこいだ。

11時半頃会場に到着する。楽屋に入ってまずやることは腹ごしらえだ。リハーサルは13時半からなので2時間ほど余裕がある。さっき買ったまだ温かい大きなおにぎりを口に頬張りながら、今日のセットリストを確認してやばい曲の動画を見る。今回のツアーはやばい曲が多すぎる。何度動画を確認しても、自分がステージに立って完璧に歌って踊っている絵が見えない。しかし、このやばい状況が楽しかったりする。

そして今回のツアーは毎回方向性が違い、MCも同じメンバーが担当するわけでもないので、今回の札幌公演は無職だ。ぶっちゃけて言ってしまうと、自分がMCを担当するライブとしないライブでは緊張の度合いが雲泥の差である。頭を空っぽにできるのとできないのでは大きな違いがある。ステージに立ったら何にも考えないで、目の前にいてくれるお客さんと、いかにひとつになれるかに集中できるのが最高なので、MCがあるとそうはいかなかったりする。

デート中の告白みたいなもので、自分の言葉を好きな人に伝えられることはすごく幸せなことだが、ないときは、それはそれで緊張の要素がひとつ減っていいのだ。

ご飯を食べて、メイクもして、新衣装に袖を通す。この日から衣装が変わり、全員ピンクのとってもイケてる集団になった。新衣装を初めて着てライブをする日は、ちゃんと踊れるかの確認でリハ前やリハーサル中に着用して動くことが多い。メンバーみんな、新しい自分たちの姿に浮かれていた。

13時半。リハーサルが始まる。ユアちゃん(ユメノユア)の「AVANTGARDE PARADE TOUR、今日からよろしくお願いします!」の挨拶に背筋が伸びる。場当たりと一人ずつマイクチェックをして、音を曲で確認する作業に移る。なかなかにやばいセットリストなので、リハメニューも普段あんまりやらない曲がたくさんあってどれも新鮮な気持ちで出来て楽しい。7曲確認して、最後にオープニングとエンディングの確認をしてリハーサルは終わった。

本番までは2時間弱。各々リハーサルの動画を確認したり、MCの確認をしたり、メイクを直したり、髪の毛をセットしたり、仮眠をとったり、ご飯を食べたり、わたしはこの時間を己と向き合うものだと思っている。わたしはリハーサルで自分ができなかったところを、絶対に間違えないぞというところまで持っていく作業をする。それから発声をしたり、ストレッチをしたり、同じ楽屋のメンバーでセットリストを唱えたりした。

永遠に欲しいこの己タイムは一瞬で過ぎていく。気が付けばマネージャーに、バンドライトを装着するように促される。最後の水を口に含んでステージ袖に向かう。当たり前かのように隣にいるメンバーと肩を組んで、13人は細長い円になった。円陣が終わるとともにSEが流れ、いつものタイミングでステージに出て行く。目の前には、目をきらきらと輝かせる遊び人の姿があった。わたしはこの瞬間が大好きだ。この胸の高鳴りはこの瞬間にしか味わえない。

ちなみにこの日のセットリストメモはこちら。

13人もいると動線のミスは命取りになるので、絶対に間違えてはいけない。一人のミスで莫大な迷惑がかかってしまうのだ。

今回のライブで一番の緊張ポイントは、ライブ後半に置かれているBONDだ。2019年振りで、13人体制で初めて披露する。どんな曲でも、お客さんの前に立ってステージで初めてやるのは緊張するものだ。加えてBONDは振り付けの難易度が高い。しかし、どんなセットリストであっても初めての人には何にも関係ないのだ。静かなイントロが流れ、動かない時間が続く。静かな曲こそ、少しでもタイミングをずらしてはいけない。1Bのソロパート(おいしい)を歌い終えサビに入る。練習では苦戦したサビの振り付けが、楽しい。あれ、これはいいぞ。音に合わせて体を動かすのが気持ちいい。そうして夢中になっていたら曲はアウトロを迎えていた。息が上がって、肩が上下に揺れる。だからライブが好きだと改めて実感した。

ライブが終わると、重力が人より倍かかっているんじゃないかと思うほど身体が重くなる。のそのそと階段を登って、這うように楽屋に向かう。冷蔵庫で冷やしておいた水をがぶがぶ飲む。この瞬間も最高だ。来てくれた関係者の方と挨拶をして、急いで特典会の準備をする。せっかくCDを買って来てくれるのに、ボサボサじゃ申し訳ない。握手会をして、グループショットを撮って、個別の特典会に移る。北海道には北海道でしか会えない人がいるから、特典会があるのはとても嬉しい。もちろん、飛行機じゃなきゃ来れない北海道という場所に、わざわざ遠征をしてきてくれる人にも会うことができて、そして大好きな北海道という場所に一緒に来ることができて嬉しいのだ。

特典会が終わると、メンバー各々片付けを始める。何を話したかとか、誰が来てくれたとか、頭の中に浮かべながら私服に着替えて、キャリーケースのなかに全てを詰め込んでいく。全員の身支度が終わると、会場のスタッフさんにご挨拶をして外に出る。札幌の夜風はやっぱり寒かった。

過去の連載記事はこちら
https://strmweb.jp/tag/ca_non_regular/

キャ・ノン

「みんなの遊び場」をコンセプトに活動する13人組アイドルグループGANG PARADEのメンバー。また、「KiSSをあなたにお届けchu!♡」をキャッチコピーに活動するWACK初の王道6人組アイドルグループ『KiSS KiSS』のメンバーの一人でもある。ライブ好きで、苦手なことや、できないことは出来るようになればいいというタフでロックな精神の持ち主。2024年5月31日より自分自身のライブレポートなどを綴った『アイドルリアル備忘録』をSTREAMにて連載中。