キャ・ノン（GANG PARADE / KiSS KiSS）連載vol.4「AVANTGARDE PARADE TOUR滋賀公演の日のこと」アイドルリアル備忘録

こんにちは。GANG PARADEのキャ・ノンです。先日は滋賀でドクの凱旋、その前は大阪でユユ凱旋、名古屋でココ凱旋と、凱旋ライブが続きまして、正直言うと羨ましいです、凱旋。東京出身の人間には無縁の話なので、いつも地方に帰って「おかえり！」と言ってもらえるのいいな、ずるいなと思ってます。ちょくちょく東京出身のメンバーで話すのですが、わたしだって本当は、東京でのライブでおかえりって言ってもらいたいです。うそです。というわけで、今日はGANG PARADEのAVANTGARDE PARADE TOURの滋賀公演の日のことを書いていこうと思います。

 

 

大阪公演が終わり、会場の方に挨拶をしてコースターに乗り込む。わたしたちは明日の会場である滋賀に向かった。大阪から滋賀までは車で45分程度。メンバーは爆睡する子もいれば、わたしはなぜか寝付けなくて、窓ガラスに滴る雨をぼんやりと追いかけた。

 

ホテルに到着すると、ひとりずつ鍵が支給される。フロントで「また明日」と挨拶を交わして、途中で開いてしまったら待ってる人がびっくりするくらい、ぎゅうぎゅうにエレベーターに詰まった。また「おやすみー」と言い合いながら、わたしたちはそれぞれの部屋に収納された。このひとりになれる時間はものすごく大切だ。ギャンパレのメンバーはなんだかんだ、ひとりが好きな人の集まりでもある。12人がツインで1人だけシングルに泊まれるとなったときは、13人で火花が散る争いが起きた。

 

部屋に入ると一目散に風呂に入る。洗濯機が回り終える前に、全てを終わらせることがミッションだ。ドライヤーで髪を乾かしながら、明日初披露する曲の振り動画の確認をする。ホテルのパジャマのまま、洗濯物を回収して部屋に干したらこの日の任務は完了だ。ライブとライブの間の日はいつもより睡眠時間が短くなってしまうので、いかに早く寝られるかがロングスリーパーにとって勝負だと思っている。この日は1時を過ぎた頃に眠ることに成功できた。

 

翌日、太陽が降り注ぐ中会場入りする。外にはもう、並んでくれている遊び人の姿があった。ギャンパレにとって、滋賀県でワンマンライブをするのは初めてだ。メンバーのユイ・ガ・ドクソンは滋賀県出身で、初めての凱旋である。初めてというのは一生に一度しかない。そんな貴重な機会に、居合わせることができてとても幸せだ。ドクもずっとニコニコしていて可愛かった。

今回のセットリストを作ってくれたのは、加入時期がナルハより前のメンバーだ。滋賀県ということでドクにフィーチャーした曲もあれば、最新曲が3曲全部入っていたり、今回13人体制初披露のJealousy MarionnetteとDearがあったり、すごくバランスの取れたセットリストでライブをしていて心地がよかった。

 

しかし、リハーサルの時点から薄々感じていたが、今日めちゃめちゃ暑い。会場はみんなの熱気で、湯気なのか霧なのか白く霞んで見えた。3曲やり終えた時点で、髪の毛の巻きは取れて水を被ったような姿になった。MCのたびに、自分の汗で床に水溜りができて、目の前を見ればびちょびちょになった遊び人がいた。酸素は薄くて、意識は時々朦朧として、でも生きてるって思えるこの空間がすごく好きだと思った。

 

この日のライブで一番印象的に残っているのは、ライブ後半に披露したDearだ。ドクの「私たちからのラブレター受け取ってください」の言葉をきっかけに曲がはじまる。この歌は、GO TO THE BEDSの楽曲でミキが歌詞を書いている。わたしはミキの書いた、優しくて、少し捻くれていて、でも真っ直ぐに目の前の人に思いを届けられるDearの歌詞がとても好きだ。この歌が流れると、PARADISESとGO TO THE BEDSがトレードしているときに、ライブハウスで歌っていた時のことを思い出す。まだコロナ渦で、立ち位置指定で、声出しもできなくて、みんなマスクを付けていた頃だ。あの時も汗だくで、衣装も色が変わるくらいびちょびちょになって、意識半分みたいな状態で歌っていた。でもあの時とは、まったく状況は変わった。こんなふうにオールスタンディングで、みんながぐちゃぐちゃになって、この歌が歌える日が来るなんて、あの頃の自分に教えてあげたい。遊び人の顔がよく見えてわたしは嬉しかった。愛おしい日々は更新ではなくて、アルバムに写真を足していくような感覚だと思った。（これたぶんいつかMCで使います）

 

ライブを終えて特典会に移る。今回は個別チェキの特典会から始まった。わたしはココとドクと同じレーンで、ドクに対して「おかえり！」や「おめでとう！」の言葉を伝える遊び人に、心があたたかくなった。そしてふと隣を見たら、ココが感動して泣いていて笑った。なんか今日はほっこりしたね、なんて話しながら、終わってほしくない時間はいつも終わってしまうのだ。

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