キャ・ノン（GANG PARADE / KiSS KiSS）連載vol.9「GANG PARADEが再始動したときのこと」アイドルリアル備忘録

こんにちは。GANG PARADEのキャ・ノンです。

わたしは、今まで起こった物事に対して、記憶力がいい方だと自負しています。あと他人の、自分では忘れたいことや、消したい過去もしっかりと覚えているので、友達からは”やなことリマインダー”と言われています。嫌な存在ですね。

今日は何を書こうかと悩みまして、忘れたくない出来事はなんだろうと考えてみました。大切な瞬間をどんなに覚えていても、やっぱり時間が経つにつれて薄まってしまうんですよね。なので、ここに書き留めておかせてください。そんな今日は、GANG PARADEが再始動したときのことを書いていこうと思います。

 

 

人生の節目はあと何回あるんだろう。ぼんやりとした人生設計の中に、きっとここだろうなと思える時はあまりない。しかし、それは突然やってきて、歩いてきた道を振り返ってみれば旗が立っている。あれは間違いなく、わたしにとっての節目だったと思うのだ。最近でいうと、合宿オーディションに合格したとき、そしてGANG PARADEが再始動したときだ。

 

わたしがはじめてGANG PARADEを見たのは、2017年の横浜赤レンガ倉庫で行われたWACK EXHiBiTiONだ。そのときWACKのアイドルをはじめて見て、強く心惹かれ、憧れというものがはっきりと生まれたのだ。ギャンパレのライブや、リリースイベントもこっそりと行っては、Plastic 2 Mercyの落ちサビで周りの人がしゃがみ始めて焦ったのを覚えている。GANG PARADEはすごくかっこよくて、あんな風にライブできるようになりたかった。でも、そのときのGANG PARADEの完成形が変わってほしくなくて、自分がそこに入りたいとは思わなかった。憧れのままであってほしいと願っていた気がする。

 

2022年1月1日。読売新聞の朝刊広告に『PARADE GOES ON』の歌詞とともに、『GANG PARADE再始動致します』の言葉が載っていた。当時、GO TO THE BEDSとPARADISESのメンバーは12月31日の夜に事務所に集められた。YouTubeをはじめると言われて企画会議をしたり、開いていない神社に初詣に行ったり、朝刊が出るまで時間を持て余し、何も教えてもらえずにいた。携帯は没収されて、情報は何も入らない。「移動します」と声をかけられて、練習室にいくとそこでようやく新聞が渡された。わたしたちは全員そこで、再始動することを知った。そして「明日ライブやります」と伝えられたのだ。

 

実感は湧かなかった。噛みしめる余裕もない。伝えられてすぐ、元からギャンパレとして活動していたメンバーが、タイムテーブルを作ってくれたり、フォーメーションを書く分担をしていた。そのとき、分裂しているタイミングで加入したメイ、ベビ、ノンの3人は、明日やる10曲の歌割が書いてある歌詞カードをもらった。GANG PARADEの歌に、自分のパートがあることの喜びは、今でも色濃く覚えている。すごくすごく嬉しくて、この状況も変で、本当に夢みたいだと思った。

 

準備は急ピッチで進んでいく。PARADISESとして活動してきたわたしは、GO TO THE BEDSのメンバーとあまり関わったことがなかった。今では考えられないけど、当時は本当にこわくて、あまり喋れなくて、この人たちと一緒にやっていける自信がなかった（今はなんにもこわくないよ）。それでも本番が近づくに連れて、グルーヴみたいなものが生まれて、自分も一員になれた気がして嬉しかった。最初は本当に話したことなくて、練習中もあんまり喋らないミキが、『UNIT』のハモの音がわからなくてパニックになっていたわたしに、付きっきりで教えてくれたのもすごく覚えている。

ライブはボロボロだった。悔しいとも思えないくらい、何もできなかった。ミキが教えてくれた『UNIT』のハモだって、これっぽちも歌えなかった。ゆゆちゃんが直前まで教えてくれた『CAN’T STOP』の間奏のダンスもちっとも踊れなかった。本当だったら、しっかり準備して、できるようになって、自信を持ってステージに立ちたかった。でも、そんな思い通りにいかない場所を選んだのも自分だ。わたしのGANG PARADEは、そんな絶望からはじまった。

 

生きていると、何があるか本当にわからない。まさか自分がGANG PARADEになるなんて、夢にも思っていなかった（思ってたかも）。熱帯びていない日々に、固執できるものを手に入れられたことはこの上ない幸せだ。憧れを壊したくない。そして、自分が好きだったギャンパレを超えるくらい、自分がいる今のギャンパレを好きになりたいし、好きになってもらいたいのだ。

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