ボーカルを選んだのは真ん中に立ちたかったから
――音楽を始めたきっかけから教えていただけますか。
おざきれん(以下、おざき) お姉ちゃんがベースを買ったんですが、すぐに断念して弾かなくなって、それを借りて弾き出したのが小学4年生ぐらいです。別にベースにハマった訳ではなくて、家にあったから弾いていただけで、別に上手くもなかったです。
――どういう曲を弾いていたんですか。
おざき ワンオク(ONE OK ROCK)とかセカオワ(SEKAI NO OWARI)のコピーです。一人でベースを弾いていたのでつまらなくなって、裕福な友達に電子ドラムを買わせて、ドラムを叩いてもらって(笑)。友達の家にギターがあったので、ギターを弾ける奴を探して。僕は出身が岐阜の高山なんですが、町にはスタジオが一つしかなくて、しかもすごく狭くて。裕福な友達の家がめっちゃ広かったので、みんなで集まって練習するようになりました。当時はボーカルをやっていなかったので、音源を流して一緒に弾く、みたいな。
――おざきさんが歌い始めたのはいつからなんですか。
おざき 中学1年生のときに、やっぱりベースじゃなくて歌いたいなと思ったんです。それで地区のお祭りに参加して、神社に楽器と電源を持ってきて、初めてライブをしました。マイクアンプとかも分からなかったんでベースアンプにマイクをぶっ刺して。神社でライブなんて罰当たりだなと思ったんですが、ワンオクのカバーをやったら、かなり盛り上がったんです。おじいちゃん、おばあちゃんしかいなかったですけどね(笑)。そして中学3年生の最後にも、周りの友達からライブを観たいと言ってもらって、公民館を借りて、たくさん同級生を集めて、ワンオクのカバーを1時間ぐらいやりました。そのときは機材も全部自分たちで借りて、PAも唯一のスタジオの方にお願いして。そのときは裕福な友達も普通のドラムセットを買って叩いていて、新しいベーシストも見つけて、僕はボーカルに専念して、4人でライブをしました。
――人前に出ることに抵抗感はなかった?
おざき むしろ前に出たいタイプの人間だったんですよね。でもスポーツができなかったので、だったらバンドをやるかと。最終的にボーカルを選んだのも、真ん中に立ちたかったからなんです。
――当時からハイトーンボイスだったんですか。
おざき まず神社でやったときは本番の1週間前に変声期がきて、それまで普通に歌えていたのにライブではボロボロだったんです。それが悔しくて毎日お風呂で1時間ぐらい歌っていて。「絶対にリベンジするぞ!」と思ってライブをやったのが公民館で、その時点で今のような歌声でした。
――ボイトレなどに通った訳ではないんですよね。
おざき そうですね。とりあえず好きなバンドのものまねをしていたら、徐々に高い声も出せるようになって。自分の声なんだけど、自分の声じゃないような感覚がありました。
――高校時代もバンドは継続していたんですか。
おざき 継続はしていたんですがライブをやったのは一回だけで。高校2年生のときに高山市の野外音楽フェスに呼んでもらったんです。高山って観光地だから、外国人観光客が多くて。しかも僕ら以外は高山の高校の吹奏楽部や、おばあちゃんばかりの地元の琴クラブだったので、バンドでワンオクのコピーをやったら、めっちゃ盛り上がって。そのときに初めてライブが楽しいと思いました。
――高校時代はバンドに打ち込んでいた訳ではなく?
おざき みんな別々の高校に行ったので、たまに集まってセッションする程度でした。でも僕はずっとバンドをやりたいと思っていたので、ワンオクとは違うタイプの曲を弾き語りでやっていて、ちゃんとした曲とは言えないんですけど自分で歌詞にメロディーを付けたりもしていました。
――高校卒業後、名古屋に行くんですよね。
おざき 当時、お姉ちゃんは東京に住んでいたんですが、高校を卒業して上京するときにお母さんがめっちゃ悲しんでいたんですよ。それを見ていたので東京には行けないなと思って、名古屋なら岐阜から距離も近いし、いいかなと思ったんです。それでお母さんに「音楽をやりたい」ってポロっと言ったときに、「自分でお金を貯めてからにしな。2年働いて20歳になって行きなさい」と言われて。それは絶対に嫌だと思って、名古屋で就職したんです。木材関連の営業だったんですが、3日で辞めて(笑)。それで友達の家に居候したんですが、お母さんにめちゃくちゃ怒られて。それでバイトを始めようと思って、受かったのが栄の楽器屋でした。今使っているリッケンバッカーのギターも、そこの楽器屋で買いました。
――では名古屋に思い入れがあった訳ではなく?
おざき 全くなかったです(笑)。学生時代、一緒にバンドをやっていたギターとベースも名古屋に来たんですが、もう楽器はやってなかったですし、音楽関係の繋がりが一切なかったので、最初はライブハウスにも行ってなかったです。