1st EPを聴いた人に報われてほしかった

――6月12日にリリースした1st EP『誰よりも幸せになれ、報われろアタシ』の収録曲について1曲ずつお聞きします。1曲目は先ほどお話しに出た「変わらないで」ですが、このEPのための新録ですね。

おざき 最初の曲だし、聴き手になって考えたときに、再生をボタン押して、最初に「変わらないで」が流れたらうれしいなと思うし、バラード系で始まりの曲だなって個人的にも思うので1曲目にしました。

――新録するにあたって、どういうところを変えたんですか。

おざき 前のバージョンはサラッとしたバラードで、曲自体に重みがなかったんです。それはそれで良かったんですが、ちょっと歌い方を変えて、りゅうたに新たなギターソロを入れてもらいました。

――2曲目は「恋はジレンマ」。

おざき まだ楽器屋でバイトしていた2年ぐらい前に書いた曲です。当時、観ていたアニメに「恋はジレンマ」というワードが出てきて、めっちゃ良いと思ってタイトルから曲のイメージを作っていきました。

――3曲目は「繰言」。

おざき 初めて35分尺のライブをやることになったときに曲数が足りなくて、急いで作った曲です(笑)。そのときのバイトの上司が苦手で、逆らうような気持ちで書いた歌詞と、ずっとループしているだけの即興みたいなギターで、いきおいで書いたけど好きな曲です。

――4曲目は「幸せ空間」。

おざき 出かけたときに、めっちゃ空が晴れていて、飛行機雲がすーっと出ていて、隕石かと思って写真を撮ったんです。そこから「隕石墜落」というワードが出てきて曲に広げました(笑)。恋愛していると心の中で隕石が墜落したように、心境が変わっていくというのもあるし。日常生活で「幸せ空間」って言葉はいろんなところで使われているけど、曲名では他になかったので、これはいいんじゃないかと。ライブハウスも幸せ空間の一つだから、ライブ映えもするなと思ったんですよね。

――感覚的なところからインスピレーションが生まれることが多いんですね。

おざき そうですね。まずは語呂の良さで作っていって、意味は後々分かってくるというか。何を伝えたいのかは絶対に見つけるようにしています。

――5曲目は「貴方依存症」。

おざき 収録曲の中では一番新しい曲なんですが、ちょっと変わったテイストが欲しかったんですよね。当時、スマホ依存症というニュースがよく取り上げられていて、「スマホ依存と言っても、好きな人の連絡を待っているから、結局はその相手に依存してんじゃないの」みたいなことを考えて。それで「スマホより貴方依存症」みたいなところから始まって、スマホのバッテリー残量から“0%” “100%”といったワードも入れて。今の世の中は何かに依存している人が多いんだろうなという思いで作っていきました。

――おざきさん自身スマホ依存は?

おざき してます(笑)。

――ラストは「幸せと災難」。

おざき 「変わらないで」はウブな曲なんですよ。僕の実体験に基づいて書いているんですが、わがままで自己中心的な歌詞で、すごく生々しい。でも時を経て、本当に相手に対して「変わらないで」と思っていたのかな、みたいな。そう言っているだけであって、好きな気持ちが変わっていくことが一番つらかったんじゃないかなって。その気持ちを思い出して書いたので、「幸せと災難」はその次のことなんです。「変わらないで」のアンサーソングではなくて、今の気持ちを書きました。この6曲は書いた時期こそバラバラなんですが、「変わらないで」で始まって、「幸せと災難」で終わったら、伏線じゃないけど、いい感じに蓋ができるかなみたいな考えがありました。

――『誰よりも幸せになれ、報われろアタシ』というタイトルはどのように付けたのでしょうか。

おざき EPを作るってなったときに、今までやってきた曲を一つにまとめただけで、それを僕たち自身が音源にして盤で聴きたかったという思いで作ったけど、結果的に統一性があるなと。「幸せ」とか「幸福」って言葉が何度も出て来るけど、改めて「自分はこういうことを思っていたんだ」と気付くこともあって。自分のためにという思いが強かったはずが、歌詞を見ると、やっぱり誰かに届いてほしいという気持ちがあるんだなと思いました。幸せっていろいろな方向にあるものなので、“幸せ”という言葉は絶対に入れたかったんです。聴いた人に頑張ろうと思ってもらえるEPだと思ったし、頑張ろうと思わなくても共感はできるし、その人たちに報われてほしい。それで語呂も考えながら付けました。

Information

1st EP『誰よりも幸せになれ、報われろアタシ』
好評発売中!
CHRE-1001 / ¥1,760 (tax in)

<収録曲>
01. 変わらないで
02. 恋はジレンマ
03. 繰言
04. 幸せ空間
05. 貴方依存症
06. 幸せと災難

公式サイト

cherie

平均年齢20歳、Vo/Gt:おざき れん、Gt:りゅうた、Ba:タクミ、Dr:柊平(しゅうへい)からなる名古屋発の4人組ロックバンド。全楽曲の作詞・作曲を手がけるおざき れんが中心となり、2021年10月に結成。等身大の心情を映し出した歌詞に、新しくもどこか懐かしさを感じさせるメロディ。ドラム・ベース・ギター、限られた楽器で楽曲を鮮やかに彩るアレンジ。そして一度聞いたら忘れられない中毒性の高いおざきのヴォーカルを武器に、サブスク世代の早耳邦楽ロックリスナーを魅了しはじめている。バンド初の配信リリース曲となった「変わらないで」のMVコメント欄にはヤングスキニーかやゆーが、続く2nd配信シングル「降り注げよ、ロマン!」のMVコメント欄にはねぐせ。りょたちがコメントを寄せ、さらにりょたちはSNSメディアでもバズりそうな曲として「降り注げよ、ロマン!」をピックアップしており、シーンで活躍している先輩バンドマンからの評価も高い。昨年5月に行われた、cherie初の東名阪ツアー「あなたとはもちろん! 死ぬまでイコール関係ツアー!」のファイナルとなる名古屋RAD SEVEN公演には同郷のねぐせ。がゲストアクトとして出演。12月6日にリリースした配信シングル「貴方依存症」は DSPの公式プレイリストにも選出、TikTokでも多くのリアクションを得ており、YouTubeに公開したMVは1ヶ月あまりで2万回再生を突破。今年2月14日に配信シングル「幸せ空間」を、そして6月12日にバンド初となる全国流通CD、1st EP「誰よりも幸せになれ、報われろアタシ」をリリースした。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI