炎上後に引きこもり生活も…味わえない“人生の波”も乗り越えたモテクリエイターの目標

――客観的に、21歳での「ミスiD」準グランプリ獲得がゆうこすさんの転機となった印象があります。そこまでの道のり、特に10代はグループアイドルの加入と脱退、料理研究家を自称、ニート生活…と怒涛の出来事が続いていましたが、今振り返って、何を思いますか?

ゆうこす グループアイドル時代、じつはメンバーとして在籍していたのは1年足らずなので、記憶がおぼろげなんです(笑)。でも、結成からの初期メンバーで、最年長の17歳でしたし、深夜番組やグラビアへひっぱりだこで忙しかったのはふんわり覚えています。博多が拠点だったので、福岡と東京を日帰りで往復するのもしょっちゅうで。そこで天狗になってしまったのもあり、軽く炎上して、脱退後は地元で後ろ指もさされました(苦笑)。料理研究家を名乗ろうと料理教室へ通ったり、心ない発言が苦しくて引きこもってしまったり…。怒涛とおっしゃっていただいたのは、まさにその通りでしたけど、なかなか味わえない“人生の波”を経験できましたし、色んな人の気持ちを考えられるようになったのはプラスに捉えています。

――今もネットニュースなどで「元HKT48」と、肩書きが付きますよね。脱退は2012年ですが、そこに対しての本音は…?

ゆうこす 特に何もなく「まあ、メディアの方々はそうするよね」と思う程度です。CDデビューもせずに脱退したし、グループでの思い出が薄いんですよ。語れることがなさすぎて、むしろ「なんか、申し訳ありません」みたいな気持ちもあります(笑)。

――こちらとしてもなんか、すみません…(笑)。転機としては「ミスiD」への応募時に、モテクリエイターを名乗ったのもその後に大きく影響を与えたと思います。

ゆうこす そもそも「ミスiD」は、サブカルチャー好きで根暗なオタク気質だったので「似た友だちと会えればいいな」ぐらいの気持ちで受けたんです。でも、エントリー後にSNSで好きなことを自由に発信する審査があり、そこで数字を意識するようになったのが転機でした。当時はTwitter(現・X)のアナリティクス機能が珍しかった時代で「こういうハッシュタグを付けたら見てくれるのか」とか「投稿によって男性と女性の反応が変わるのか」とか、無意識にマーケティングを学んでいましたね。その後、準グランプリを獲ってからInstagramのアカウントを開設して、モテたい女子向けにと方針を決めたときに、パッと聞いて違和感ある肩書きを生み出したかったんです。タレントでは一瞬でスワイプされてしまうから、知られている言葉をかけ合わせられないかと考えて、すでにYouTubeでモテたい女子に発信していたし「モテクリエイターはどうかな」と思い、戦略的に決めました。

――現在はモテクリエイターを名乗り、インフルエンサー、タレント、経営者として活躍されています。タレントマネジメントを手がける株式会社KOS、ライバーのマネジメントを手がける株式会社321も好調です。

ゆうこす 会社では社員の誕生日に、必ずプレゼントとお手紙を渡しているんです。20代前半までは、自分は何でもできると確信していましたし、動画編集もすべて自分で手がけていたんですけど、やりたいことでより高い場所へ行くためには「チームを作らないとダメだ」と悟ったのが、起業の理由でした。でも最初は、誰かを雇うことになれず、辞めてしまった人もたくさんいたんです。それを挽回するために経営やチームマネジメントを学んで、少しずつ形になっていったし、今、やりたいことをやれているのは社員のおかげだと思っています。タレント活動を続けていけるのはフォロワーのみんながいるからですし、周囲へ恩返しできている時間が一番楽しいです。

――すでに大きな成功を手に入れている印象もありますが、30代となった今、新たな目標もありますか?

ゆうこす 経営者としては、8500人を超えるライバーが所属する株式会社321に力をそそいでいます。ライバーには地方の方もいらっしゃって、もっと多くの人に知ってもらうべき職業だと思っているんです。だから最近では、ライバーの仕事を獲得するための営業活動を頑張っています。プライベートでは、自分のライフプランとも向き合っているんです。30代では出産のリスクが高まると言われていますし、私にとってもけっして他人事ではないと思っていて。でも、同じような悩みを抱えている同性の方々もたくさんいるし、自分は「20代前半で子どもを産まないといけない」と固定観念が強い田舎で育ったので、福岡から上京して「色々な選択肢がある」と知った経験をたくさんの方に伝えていきたいんです。自分ではフェミニストと自覚していて、フェミニストと聞くと怖いイメージを抱いている方もいますけど、モテクリエイターとしてポップに女性を応援していけるようにと思っています。

Information

ゆうこす写真集 チャーミング
2024年8月9日(金)発売
価格:3,080円(税込み)

ゆうこす

アイドルグループを脱退後ニート生活を送るも、自己プロデュースを開始し、「モテクリエイター」という唯一の肩書きで、2016年にタレントマネジメントを手がける株式会社KOSを創業。2019年には、ライバーマネジメントを手がける株式会社321を設立した。現在はタレント、モデル、SNS アドバイザー、インフルエンサー、YouTuberとして活躍。InstagramやYoutubeチャンネルで紹介するコスメなどが完売するなどの影響力を持ち、SNSフォロワーは200万人以上。

PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO