ボン・ジョヴィの東京ドーム公演で1曲目から鳥肌が立った

――今回はライブをテーマに過去の原体験や変遷と、それをどう自分のライブにフィードバックしているのかをお聞きします。いつぐらいからライブに足を運んでいましたか。

Novel Core 人生で初めて行ったのは母親に連れられて行ったコンサートだと思うんですが、ほとんど記憶にないんですよね。そうやって小さい頃からサーカスやミュージカルなどのショーに連れて行ってもらうことが多かったので、エンターテインメントとの距離は近かったです。自分の意思でチケットを取ってライブに行ったのはラップを始めてからで、先輩ラッパーや同じ歳のアーティストのライブを観に行ったり、路上で一緒にやっていた人たちがやっているバンドのライブを観に行ったり。そうやって16~17歳は、路上界隈で繋がった人たちのライブに足を運んで、どういう風にライブの現場を積んでいるのかを自分の目で確かめるみたいな時期でした。その合間に外タレの来日公演も観に行っていたんですが、好きなアーティストでいくと、2018年にイマジン・ドラゴンズとフォール・アウト・ボーイのライブを観に行った記憶が強く残っています。

――早い段階で海外アーティストのライブに行っていたんですね。

Novel Core イマジン・ドラゴンズの会場は東京体育館だったんですが、イマジン・ドラゴンズを聴いたことがない姉を連れて行って、姉がいたく感動していたのを覚えています。フォール・アウト・ボーイの会場は日本武道館だったんですが、今思うと運命だなと思うのが、マイファス(MY FIRST STORY)がオープニングアクトをやっていたんです。そこで初めてHiroくんたちのライブを生で観て。めちゃくちゃ気合いが入っていて、とにかくかっこよくて、会場にはマイファスのファンの方々も多く来られていたのが印象的でした。今はHiroくんと仲良くしていただいているのもあって運命的だったなと思います。

――以前お話を聞いたとき、2018年はボン・ジョヴィの東京ドーム公演も観に行っていて、大きな影響を受けたと仰っていましたよね。ボン・ジョヴィのどういうところに惹かれたんですか?

Novel Core 超王道のハードロックですけど、歌詞も大好きで。中でも「What Do You Got?」を毎日のように聴いていて。まだインディーズ・デビューする前、日髙(光啓/SKY-HI)さんのミックステープ『FREE TOKYO』(2018年)収録の「What are you talking about?」にフィーチャリングで入ったときに、“金を稼ぐ為にやっている事じゃねえ 愛が無けりゃ What Do You Got? Bon Joviの教え”って歌詞に入れたりするぐらい、「What Do You Got?」で歌われている「愛が根っこにないと、人生はただの点を稼ぐだけのゲームだ」みたいな内容が当時の自分の心とフィットしていて。そういう金を稼ぐことの空虚さみたいなものを歌ってくれるロックミュージシャンに共鳴していた節がありました。「Because We Can」も好きでしたし、ボン・ジョヴィを聴いて自分を奮い立たせていた時期がありましたね。

――東京ドーム公演を観た感想はいかがでしたか。

Novel Core 小さい頃、母親に何度か東京ドームに連れて行ってもらったらしいんですけど、ほとんど記憶になくて。自分にとって東京ドームでちゃんと観たライブがボン・ジョヴィだったんです。そのときも母親と二人で観に行ったんですが、会場自体も衝撃でしたし、そこで世界的に有名なボン・ジョヴィのライブをまざまざと見せつけられて、ただただ圧倒されました。ちょうどインディーズ・デビューする直前の時期で、自分が東京ドームのステージに立っている姿を、ボン・ジョヴィに必死に重ねようとしたんですが、イメージが全然湧かなくて。家に帰ってから、母親に「今までアーティストの先輩も含めて、いろいろなライブを観て来たけど、初めて自分が立っている姿を全く想像できなかった」と言ったのを覚えています。

――どういうところに圧倒されたのでしょうか。

Novel Core  1曲目でバンドが一音鳴らした瞬間、ジョン・ボン・ジョヴィが一言発した瞬間から、5万人規模の会場を、アリーナの最前列からスタンドの上の席まで吞み込んでいるのが体に伝わってきて鳥肌が立ちました。ニューアルバムを出した直後のツアーで、往年のヒット曲から新しい曲まで総なめするセットリストだったんですが、新しい曲には新しい曲の良さがあって。まだ作りたての曲だからこそパフォーマンスが固まっていない部分や、その余白や遊びみたいなところが面白かったんです。一方で、みんなが大合唱できる曲では、落ち着いたスタンスの重いパフォーマンスをやっていて、その両方を約2時間、一気に観られたのがうれしかったです。当時でドラムも還暦を過ぎているのに、「嘘だろ?」ってぐらい体力があって、テンションも高くて感動しました。