いろんな人の人生を生きられる役者に魅力を感じた

――キャリアについてお伺いします。お芝居に興味を持ったきっかけから教えていただけますか。

田淵 もともと僕はアイドル活動をしていたんですが、そのときに舞台を観に行かせていただくきっかけがあって。それを観たときに、すごい世界があるだと衝撃を受けたんですよね。僕は飽き性なんですが、役者だったら、いろんな人の人生を生きられる。めちゃくちゃ楽しそうだなと思って、役者の世界に入りました。

――そもそも芸能活動を始めた経緯は?

田淵 大学を卒業する時点で、内定をいただいていた会社があったんです。でも自分の中で、ずっと興味のあった芸能活動をやってみたいという未練があったんですよね。このままチャレンジしないと後悔するなと思ったので、会社面接に行かずに、同じ日にあったオーディションに参加したんです。それに合格して今があります(笑)。

――ご家族の反応はどうだったんですか。

田淵 絶対反対されると思っていたんですが、「いいんじゃない。好きなことをやりなさい」と言ってもらえました。

――それまで歌やダンスの経験は?

田淵 一切なかったです。毎日レッスンを組んでもらっていましたが、22歳の初心者だったので、めっちゃ大変でしたね。でも毎日やれば、ある程度はできるものなんですよ(笑)。

――アイドル活動と並行して俳優活動を始めますが、最初からお芝居は性に合っていたんですか。

田淵 初舞台のときに、先輩方や演出の方から「このまま続けたほうがいいよ」「役者に向いているよ」と言ってもらえたんですよね。その言葉のおかげで、厳しい環境ではあったんですが、折れずに前に突き進むことができました。それに芝居を始めたばかりの頃は分からないことだらけで怒られっぱなしでしたが、それで辞めるのも嫌でしたし、対抗心というか、「売れてみせるぞ!」という気持ちで続けられている部分があります。

――先ほど舞台は先輩方ばかりというお話がありましたが、そういう環境はいかがでしたか。

田淵 良かったです。僕は人のお芝居を見て盗んでいくタイプなので、これはいつか使えるなと思いながら見ています。舞台の台本には、自分のだけではなく、他の人に対する駄目出しも書き込みますからね(笑)。たとえばキャストが12人の舞台なら、一作品で12人分のお芝居を作るような感覚です。

――凝り性なところもあるんでしょうね。

田淵 一回ハマるとのめり込むタイプです。高校時代も検定にハマって、7種類ぐらいの検定を取りましたから。

――それが俳優業にも活かされているんですね。アイドル活動の経験がお芝居に活きている部分はありますか。

田淵 あります。たとえばアクションの見せ方は、ダンスで身につけた体の使い方が活きています。