自分が興味のある作品に出るのが一番大切にしていること
――ターニングポイントになった作品は何でしょうか。
田淵 舞台『刀剣乱舞』です。今年6~7月も出演しましたが、初めて出演した2019年は芝居を始めて3ヶ月程度だったんです。それでいきなり和泉守兼定役を演じて、稽古期間は怒られてばかりでしたが、必死に食らいついていきました。その作品に5年経った今も出演していますが、今では怒られることもなくなって、少しは成長できたのかなと思います。
――先輩方との共演はいかがでしたか。
田淵 始めたての頃は、大きな作品に出られている方たちばかりなので、雲の上の存在だなと感じていたんです。今では、その先輩方と他の作品で共演する機会も増えて感慨深いですね。
――今後、映像にも力を入れていきたい気持ちはありますか。
田淵 どっちを選ぶとかは正直ないんですよね。僕は今フリーランスで活動しているんですが、映像でも舞台でも、面白い作品、自分が興味のある作品に出るのが一番大切にしていることです。規模の大小に関わらず、面白いと思ったら出演します。僕自身、小劇場が好きで観に行くこともあったんですが、出たことがなかったんですよね。フリーランスになって初めて小劇場の舞台にも立たせてもらって、そういう自由度の高さが楽しいです。
――小劇場の良さはどういうところですか。
田淵 やっぱり距離が近いので、呼吸音まで聞こえるし、目の動きも見えます。そうやって生で見られている感覚は、小劇場という空間でしか得られないもので、大きな舞台とは違った緊張感があります。
――お忙しい日々の中で、今ハマっていることは何でしょうか。
田淵 ONE PIECEのカードゲームです。大会に出るレベルでハマっています。もともとカードゲームに興味はなかったんですが、昔からONE PIECEは漫画もアニメも大好きで、カードゲームが出ると知って、すぐに始めました。僕以外にも大勢の舞台役者がやっていて、本番前に対戦することもあるんです。めっちゃ頭を使うので、カードゲームで頭の運動をしてから舞台に立っています(笑)。
――どなたが強いんですか。
田淵 先日も舞台『刀剣乱舞』で共演した植田圭輔さんは強いです。
――最後に改めて映画の見どころをお聞かせください。
田淵 初めて完成した映画を観たとき、現代のリアルが描かれているなと感じました。僕が大学に通っていた頃よりも深刻化している貧困化の問題などを取り入れつつ、大学生を取り巻く様々な状況も描かれていて、現役の学生が観たら本当に刺さる映画です。
――この映画は奨学金制度を全否定する訳ではないんですよね。
田淵 そうなんですよね。僕自身が奨学金に助けられた人間なので肯定派で、ぜひ大学に入る前に観ていただいて、奨学金を借りることの重さ、どれだけの覚悟がいるかを理解していただきたいです。
Information
映画『威風堂々~奨学金って言い方やめてもらっていいですか?~』
ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋HUMAXシネマズ他、全国順次公開中!
出演:池田朱那、吉田凜音、簡秀吉、田淵累生
小野匠、光徳瞬、高木ひとみ〇、あまりかなり、是近敦之
遠山景織子
近江谷太朗 他
製作協力:株式会社らくがきエンターテイメント
制作:パーフェクトワールド株式会社
監督・脚本:なるせゆうせい
企画・製作:株式会社オフィス・インベーダー
特にやりたいことも夢もなかった高校3年の唯野 空(ソラ/池田朱那)は、将来の保険として大学進学の道を選んだ。と同時に借金を背負った。大学生の二人に一人が使っていると言われる“奨学金”という美しいネーミングセンスの借金を……。その後、親との確執もあり、実家に居心地の悪さを感じたソラは、家も飛び出し、ダメな彼氏・蛭間拓人(簡秀吉)との同棲生活を始めるが、そこでも金がかさむことになる。普通のバイトをしたところで、奨学金を返し終わるのは、アラフォーになってしまう現実から逃れたかったソラは、大学で知り合った異色な同期・九頭竜レイ(吉田凜音)や水江聡太(田淵累生)の影響もあって、裏バイトも始めだす。果たして彼女が突き進んだ先には何が待ち受けているのか……。
PHOTOGRAPHER:TOSHIMASA TAKEDA,INTERVIEWER:TAKAHIRO IGUCHI,HAIR&MAKE:稲富愛