こんにちは。GANG PARADE/KiSS KiSSのキャ・ノンです。最近仕事などで会う人に「連載読んでます」と言ってもらえることが増えてうれしいです。特典会でも感想を伝えてくれたり、SNSでも読みました!と言ってもらえたり、とても糧になります、ありがとうございます。この間会った方に「週一ってすごいね」と言われて、本当になぜ隔週にしなかったのかと後悔しました。あのときマネージャーさんを止めておけば…。早くもネタ切れを感じてひやひやしてます、まじで。毎週書き終えるたびに、来週はどうしようと頭を抱える日々なので、こんなこと書いてほしい、聞いてみたいなどありましたら教えてください。とっても募集中です(たすけてー)。今日はですね、ずっとうっすらと自分の中にあった疑問というか、不思議に思っていたことについて書いていこうと思います。皆さんは好きな季節はありますか?わたしは強いていえば秋です。春は花粉にやられるし、夏は暑すぎるし、冬は寒すぎるという理由で、消去法で秋です。でもなんか、アイドルといえば夏ですよね。偏見にまみれているかもしれませんが、アイドルソングも夏曲が多いし、夏祭りとかそういうものとくっつけられがちで、『アイドル』がどの季語かといわれたら夏な気がするんです。なので今日は、ふわっと存在するイメージ『アイドルと夏』について、ななめから書いていこうと思います。
夏、少し外に出れば止まらない汗に、いやというほど照りつけてくる太陽。直射日光に当たれば肌は日に焼けてしまうし、日焼け止めはべたべたして不快だ。日中は日傘を持って外に出るけど、夜になればただの荷物。冬になれば夏の嫌なところなんて忘れてしまうように、暑すぎる毎日だと肌寒い季節が恋しくなる。夏が好きだったことはない。それでもなぜか、過去になってしまえば、夏っていいものだった気がしてしまう。春の思い出、秋の思い出、などはあまり聞かないが、夏の思い出という言葉ははっきりと存在する。そんな魔法のような、まやかしのような季節がきらいにはなれない。
アイドルにとって、夏というものは四季の中で最も重要な季節とされている気がする。大きなアイドルフェス、対バンライブやツアー、リリースイベントなども、世の中的に夏休みの時期に多く行われる。わたしも一年間の中で、一番ライブをしているのは毎年8月だ。去年の夏は、一ヶ月のうち20日くらいイベントがあった(すごいね)。そして、家にいられる日が少ないのも8月なのだ。毎年、覚悟を決めて8月を迎えている。駆け抜けるという言葉は比喩ではないのだ。
そしてなぜか、そんな大変な夏はすごく特別なもののように感じる。それは一緒にいられる時間が長いこと、会える頻度が高いことがあると思う。一年の中で最もイベントが多い夏、他の時期と比べてたくさん会いにいくことができたり、地方遠征も多くできたり、普段よりも会える機会が増える。そしてそれが、そのときの記憶がぎゅっと詰まって、楽しかった、しあわせだった思い出として塊が自分の中に残るのだ。
他にも、夏のフェスという存在はかなり大きい。TOKYO IDOL FESTIVALは、わたしにとってもずっと特別で、大切な夏のイベントだ。アイドルがたくさん出演するフェスでは、他のグループに負けたくない、応援しているグループがいいと思わせたい、という対抗意識みたいなものが生まれる。思い込みかもしれなけど、それは自分だけじゃなくメンバー、そしてファンのみんなとも一緒に戦っているような、そんな強くなった気持ちになれるのだ。
屋外のステージは曲がゆっくりに聞こえるほど暑くて、一曲目から汗でびしょびしょになる。見ているみんなも、わたしたちよりも前から待機してくれていて、眩しさで険しい顔をしていたり、顔や腕が日焼けで真っ赤になったりしている。側から見れば、ただただしんどそうなのに、なぜかその極限状態に高まってしまうのだ。それに加えて、夏ブーストみたいなものがかかったりして、さらにテンションが上がってしまったり、暑さで頭がやられてしまったりする。アイドルもファンも、頭の悪い生き物なのかもしれない。
暑すぎる毎日、家にいない日々、パンクしそうな頭。そんな限界みたいな生活が、逆に面白かったりする。そのときは本当に辛くてしんどくても、過ぎ去ってしまえば、あれはあれでよかった、なんて思えたりするのだ。そして、そんなときに出会えた人や、一緒に過ごしてくれた、駆け抜けてくれた人のことは、すごく特別な存在になる。少しおかしくなってしまった吊り橋効果みたいなものかもしれない。でもそれでいい。アイドルにならなければきらいなままだった夏も、少しだけ好きになれたから。
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