心から楽しいと思える仲間と演じられるのはすごく大きい

――実写化してから約19年が経ちますが、こうして長いスパンで作品に携わることは珍しいのではないかと思います。他の役柄とはまた違った思いや感情があるのかと思いますが、いかがですか?

塚本 この作品は、そもそもは隆ちゃん(佐藤)が原作を読んで、森谷さんに「この3人で『THE3名様』をやりたい」って言ったところから始まっていて。最初にオファーを受けたとき、僕は21歳ぐらいで、はじめはミッキーという役を仕事としての役の一つだと捉えてやっていたんです。それが復活することが決まったときに、仕事なんだけど仕事じゃないというか……。

佐藤 わかる。

塚本 「この役ができるのは俺しかいない」っていう自負もあったので、ほかの役と比べることはできないですけれど、もし復活するんだったら、やるのはこの3人しかいないだろうっていう気持ちは当然ありました。人生の半分、この作品をやっていますからね。

佐藤 まあ、途中12年くらい空いてますけど(笑)。

塚本 空いている期間は長いんだけど、いまだに「3名様観てました」「好きです」と現場で言われることも多くて、そんなに愛されている作品ってなかなかない。それに携わっていることも誇りだし、自分の中のどこかに「俺、ミッキー」みたいな思いがあるのかもしれないです。

岡田 個人的にも役への意識はすごく強いですけど、なぜ自分がこのまっつんをやれているのかなと思うと、この2人がいるからだと思っていて。僕がどんなくだらない言い方をしても、この2人なら絶対にうまく料理してくれるっていう確信がある。僕の確信というよりは、この2人を信頼しているだけなんですけど。それがあるから、「まっつんは僕にしかできない」「この2人がびっくりするようなことを言えるのは俺しかいないだろう」と思えるんです。それに、決して嫌われるようなキャラクターにはしたくないし、愛すべきところはあってほしいと思っているので、そのためにもいろいろなバリエーションが見せられるように、常に考えてやっているかもしれないです。そういえば、若いころの映像を観たけど、ひどかったよね、俺(笑)。

塚本 あんたはただのヤンキーだったよ(笑)。

佐藤 不良だったね(笑)。

岡田 ただただ怒っているだけ。

塚本 リアル岡田義徳。

佐藤 めちゃくちゃ怖かったよ。

岡田 それが年月を経て、ちゃんとまっつんというキャラクターとして怒っているなって思えるから、面白いなと。

――佐藤さんは?

佐藤 ちょっと話が逸れちゃうかもしれないですけど……。

塚本 いや、それは勘弁して(笑)。

佐藤 ちゃんと戻すから(笑)。高史が言ったように、この『THE3名様』が始まるきっかけは、20年以上前にこの作品を、この3人でやりたいって勝手にキャスティングまでした状態で森谷さんにプレゼンをしたこと。それを森谷さんが叶えてくれたんですけど、本当に見る目があったというか、当時の自分に対してこれだけは褒めてあげたい。

塚本 そうだね。

佐藤 この2人とだからこそ、ここまで続けてこられたと思うし。別にこの『THE3名様』という作品を「僕たちにしかできない」なんて、そんな気持ちはないんです。でも、自分が出るんだとしたら絶対に、あとの2人はこの2人じゃないと無理っていう。これってちょっと照れくさく聞こえるかもしれないんですけど、ジャンボになった瞬間、その時間だけはこの大好きな2人と会えるし、大好きな2人がやっているミッキーとまっつんっていうキャラクターに会える。それがすごく嬉しい。この作品と出会えたのと出会えなかったのでは全然違うなと思いますし、いろいろな現場に行っていろいろな役を演じていると、ときとしてちょっと不完全燃焼だったなとか、そういう思いを抱えたまま終わっちゃうこともなくはないんです。でも、そんなときでも『THE3名様』に戻ってくると、エネルギーを満たした状態で他の作品に行くことができる。心から楽しいと思える仲間と演じられるっていうのは僕にとってすごく大きいです。