無観客のライブを経験して、リアクションに頼らないパフォーマンスを身につけた

――初ワンマンライブを開催した経緯を教えてください。

Novel Core GRAND MASTERから独立することになり、自主制作で1stアルバム『WCMTW』を制作して、日髙(光啓/SKY-HI)さんから話があってBMSGへの所属が決まったタイミングでした。GRAND MASTERで最後の仕事として、2020年9月8日に無観客ではあったんですが川崎のCLUB CITTA’で初のワンマンライブを開催しました。

――どうしてCLUB CITTA’を選んだのでしょうか。

Novel Core  会場選びの段階では無観客になるとは思っていなかったんですよね。1stアルバムのリリースとAbema TV『オオカミちゃん(月とオオカミちゃんには騙されない)』出演で一時的に注目が集まっていた時期だったので、それに合わせた規模感でやるのはどうだろうとチーム内で話をして、ジブさん(Zeebra)さんにもアドバイスをもらって、4つぐらいの会場候補を出したんです。僕としてはCLUB CITTA’への思い入れが強くて。CLUB CITTA’が会場のMCバトルにもよく出ていたし、ダンスイベントも含めてヒップホップのイベントを観に行くことが多かったし、バンドのライブにも足を運んでいたし、自分的にはライブの聖地みたいな感覚があったんですよね。でも開催を発表するタイミングで無観客が決まったので、その中でできることを考えようと一からライブを組んでいきました。

――ワンマンライブの模様はYouTube LIVEで完全無料配信されましたが、無観客でやってみた感想はいかがでしたか。

Novel Core  めちゃくちゃ難しかったです。お客さんがいない状態なのに、ちゃんとお客さんがいる体で没入しないといけないというメンタリティの部分。あと普段はお客さんに向けてアイコンタクトをしたり、自分の好きなようにステージングをしたりしていたのが、カメラが入って、スイッチャーが入って。それが配信されるとなったときに、こっちにスイッチが切られているときに、こっちを向いてパフォーマンスをしては意味がないみたいな。カメラチームとのコミュニケーションですよね。自分的にはこのタイミングで、こういう形で抜いてほしいという要望の伝え方など、こう見えたいと思っているものを明確に伝えて形にする作業が必要だと気づいて、それが大変でした。

――無観客ライブを経験したことで今に活きていることはありますか?

Novel Core  たくさんあります。コロナ禍の自粛期間が始まる直前に、広島、沖縄、大分など、地方でライブをやる機会があって。お客さんがパンパンに入って、沖縄は600人ぐらい来てくれたんです。ただ僕のライブを観たくて来てくれている人たちばかりだから、極端な話、僕が歌っていなくても、みんな歌ってくれるし、盛り上がるしという状況だったんです。でも無観客になると盛り上がるという概念がないじゃないですか。お客さんのリアクションに頼れない分、パフォーマンスの根本というか、歌唱力やステージングの上手さなどが浮き彫りになる。これは粗が目立つということで、無観客のライブしかできなかった時期に、お客さんのリアクションに頼らないパフォーマンスの作り方みたいなものを身につけました。それが今、大きな会場に何万人いようとも、お客さんを盛り上げつつ、その上で自分のパフォーマンスのベースは崩さないみたいなところに繋がっている気がします。