二人でしゃべっているパートは、いつもと変わらなかった
――もともと「この動画は再生できません」のようなホラー系の映画やドラマを見ることはありましたか。
賀屋 ホラー寄りのテレビ番組を見ることはあったんですが、意識的に見ることはなかったですね。
加賀 僕は実家の敷地内にお墓があったんですよ。それが、お化け屋敷みたいですごく怖かったんです。そんな環境で育ったのもあって。そういう映像を見ると寝られなくなるので一切見なかったですね。
――「この動画は再生できません」は入れ子構造になっているので、かなり緻密な演出なのではないでしょうか。
加賀 本当に細かくやってくれているんですが、コンパクトに撮影している部分もあるから、意外と抜けもあったりして。「あれ?これ致命的じゃないかな」といううっかりもあるんです(笑)。
賀屋 現場でスタッフさんが頭を抱えているんですよね(笑)。
加賀 「こう撮っちゃったけど、これどういうことにする?」みたいな。気づかれるか気づかれないかの瀬戸際でハラハラします。あまり詳しくは話せないですが、賀屋が演じるオカルトライター鬼頭は、足音をさせてはいけない。ところが撮影場所の床がギーギー鳴るので、普通には歩けない。ホラー映画ってそういうことも気にしなきゃいけないんだと初めて知って、他の作品はどう撮影しているのかと興味が湧きました。
賀屋 鬼頭は人にぶつかったりもできないし、周りに影響を与えちゃ駄目な役柄ですからね。見た目も変化しちゃいけないんですが、第1シリーズと第2シリーズで髪の長さが微妙に変わっているんですよ。体型もちょっと太ったりして。
加賀 ホラーで髪が伸びるのは怖いけど、逆に短くなるってどうなんだと(笑)。
賀屋 あと、顔のむくみもあったりして。何でお前がむくんでいるんだって(笑)。そこをスタッフさんも面白がって、笑いながらやっていましたけどね。
――役作りで意識したことは?
加賀 僕はなかったですね。賀屋としゃべっているパートは、いつもと変わらないので、そんなに意識する必要もないんです。そもそも二人で起用されているのは、そういうことだろうし。ただ僕が演じる編集マンの江尻は、推理パートを言い間違えちゃいけないし、専門用語も多いんですよ。『この動画は再生できません THE MOVIE』は他のキャストもいる前で推理するので堂々と話すことを意識したんですが、試写会で初めて本編を見たら、ガチガチで堂々とできていなかったのでビックリしました(笑)。
賀屋 僕は「どういうこと?」「ああん?」みたいな反応ばかりなので、推理パートは楽でした。役作りで言えば、自分が置かれている状況に気付かない人なので、明るくて元気そうだけど実は……みたいな。不思議な感じになればいいなと思いながら演じていました。
――ドラマも映画もお二人のテンポ感が絶妙です。
加賀 そこも、いつも通りだと思います。はっきりボケで、はっきりツッコミなので、やりやすいというか。谷口恒平監督も自由にやらせてくれるんです。
賀屋 回が進んでいくうちに、僕らのほうに脚本を合わせてくれて。「こういうことを言ってほしい」みたいなのが出てきたので、めちゃくちゃやりやすかったです。