得意を活かすなら“スモールスタートで”パラレルワーク時代へのメッセージ
――パラレルワークへの関心も強い時代で、会社員とラブレター代筆屋の兼業を実現する1人として、副業や復業をめざす読者へのアドバイスもいただきたいです。
小林 会社で副収入が認められているなら、スモールスタートではじめてみるのをすすめたいですね。いきなり会社を辞めて、何か別のことをはじめるのはリスクが高いと思うんです。例えば、小説家に憧れているのなら「小説家になりたいので会社を辞めます」と決断する必要はなくて、仕事の休憩時間や終業後、休日に少しずつ書く選択肢もあるじゃないですか。できる範囲で小さなことからはじめてみれば、収入面でのリスクも小さくて済みますし、実際に少しでもやってみれば、自分の覚悟や適性も見極められるので良いと思います。
――新たに、歌人「小林静」として短歌を作りはじめる挑戦もありましたが、二つ名での活動におけるメリットも感じていますか?
小林 シンプルに、気分転換になりますよね。本業の「小林慎太郎」として落ち込むことがあった日も、別名義の「小林静」として短歌を作っていると楽しめるんですよ。収入面でも食べられるだけの稼ぎは本業でまかなえていると思ったら、別名義での活動はのびのびとできますし、僕はプラスに捉えていますね。
――45歳の現在。ご自身の経験も振り返ってみて、20代、30代、40代の生き方の違いをどう感じていらっしゃるかも最後、伺いたいです。
小林 経験則ですが、僕自身、20代は将来を何も考えていなかったんです。パラレルワークは「スモールスタートで」とは言いましたが、20代は少し話が違い、失敗してもいいと開き直って、何か、大きくチャレンジしてもいいと思うんです。でも、30代は少しずつ背負うものも出てくる年代なので、多少のリスク管理は必要だと思っています。ですので、30代に関しては先ほど話をしたスモールスタートの考え方が大事で、色々なことを小さく試しつつ、今後の道筋を模索する年代だと思っています。そして40代。40代は、20代、30代の答え合わせといいますか、で、どうなった?と答えを迫られる年代だと感じています。そのため、シビアな言い方をすると、40代からバタついても少し手遅れだったりするので、20代、30代のうちにジタバタしておくことが大事だと、今振り返ってみて思います。まあただ、そうは言いつつも、僕も40半ばにして日々ジタバタしていますけどね(笑)。
Information
作品名:書籍『恋人であれ ラブレター代筆屋が詠む短歌』(彩流社)
発売日:発売中