儚い恋心を歌い上げた曲と、“のんびり行こう”とメッセージを込めた曲を収録
――最新シングル『初恋、花冷え/悠々閑々 gonna be alright!!』は、2024年11月28日に東京・日本武道館での卒業公演を控える川村さんのラストシングルとなります。
川村文乃(以下、川村) YouTubeで「アンジュルム」を検索するとMVが上がってきますし、最後の姿を残せたのはシンプルにうれしいです。儚さのある「初恋、花冷え」では、愛の歌がたくさんある私たちにとっては珍しく、恋心を歌っているんです。「儚(い)」とか「刹那」とか少し弱気な言葉が並んでいる歌詞で、花びらが舞い散るような空気感も好きですね。「悠々閑々 gonna be alright!!」は私たちのにぎやかさもありながら“何がなんでもやってやるぜ!”とこれまでの曲にあった強気な女の子像ではなく、“どうにかなるし、のんびり行こう”と楽観的な印象なのが新鮮です。
為永幸音(以下、為永) 「初恋、花冷え」は今のアンジュルムの雰囲気に合っていますよね。伊勢(鈴蘭)さんのソロパートからはじまり、川村さんがセンターのダンスで締める展開で、スラッとしてキレイな女性像が出てるなって。「悠々閑々 gonna be alright!!」はパフォーマンスしていても楽しいし、聴いてくださる方も笑顔になってほしいと思います。
――為永さんが思う「今のアンジュルム」を、言葉にかえるなら?
為永 メンバーの個性が豊かで“動物園”と言われていた空気感からは少し変わって、これまで以上に一体感を大事にしているのが今なんです。秋ツアー(2024年9〜11月)でも「振り付けを揃えよう」と話し合ってきたし、個の強さよりも全体のまとまりを重視しているからこそ「初恋、花冷え」の可憐さがきわだっているとも思っています。
――2023年6月以降、上國料萌衣さんがリーダーを務める新体制になったのも、影響があったんでしょうか?
川村 上國料さんはパワフルさより、可愛らしさや女性らしさが似合う方なので、自然に引っ張られたのかもしれませんね。幸音ちゃんが言っていた「一体感」も上國料さんが先陣を切ってきたもので、竹内(朱莉)さんが(前)リーダーを務めていた当時から「ここは揃えて歌おう」とか、レッスンで率先して提案していたんです。後輩の私たちが教わったこともたくさんあります。
――そんな思いで一致団結したMV撮影も振り返っていただきたいです。「初恋、花冷え」では、みなさんがスケッチブックに絵を描いているのが印象に残りました。
川村 CGで蝶が舞い、雨が降り、涙が流れる場面もあり、想像しながら一生懸命に演技したので完成が楽しみでした。絵を描いたのも監督さんのアイデアで「心にあるモヤモヤを絵で表現してほしい」という提案があったんです。紙とマジックペンが用意されていて、具体的な何かを描くのではなく、思い浮かんだモヤモヤをたよりに、自然と手を動かしていました。
為永 私の前にあったのは絵の具で、とにかく色を塗ろうとしていました。みんな、ハッキリとしたものではなく、抽象的な絵を描いていて。淡い色に黒を加えてみたり、描いていた紙をクシャクシャにして、ちぎったりしていました。
――かたや、チェックの衣装で揃えた「悠々閑々 gonna be alright!!」は、アンジュルムらしい“わちゃわちゃ”感が伝わってきます。
川村 大量のコンテナが積まれた場所で、わちゃわちゃとして楽しかったです。でも、真夏でコンテナの中に入っての撮影は熱くて、めっちゃ汗をかきました(笑)。カラフルなコンテナに、チェックのカラフルな衣装も合ってるなと思います。
為永 映像で見ると、素の部分がよく出ているなって。輪になって“アンジュルムのユートピア”を表現するカットもあって、後半にはみんなで寝たフリをするシーン(3:24頃〜)もあるんですけど、本当に寝ちゃったメンバーもいました(笑)。リラックスした状態での雰囲気を残せて、楽しかったです。
――「寝ちゃったメンバー」は、誰だったのか…?
川村 MVでは使われなくて、CD(初回生産限定盤B)の特典BDにある「メイキング映像」を見ていただけると分かります。しっかり寝ちゃって、カットがかかっても起きないほどだったので、楽しみにしてほしいです(笑)。