超ディープなコンセプトアルバム作りに意欲「洋館を借りてレコーディングしたり」
――当初は、高校時代に結成したバンドでしたが、2人組としての活動をはじめたきっかけは?
亀本 高校卒業後に長野県から上京するタイミングで、メンバーだったベースとドラムが就職を理由に抜けてしまったんですよ。僕は名古屋の大学に進学したんですけど、毎週、長野に帰って、まだ高校生だった松尾さんと音楽活動は続けて、「メンバーが見つかればいいよね」とは話していたけど、なかなか、一緒にやれる人との出会いがなかったのもありましたね。
松尾 私は高校卒業後に東京の美術系の大学へ通いたかったので受験したんですけど、GLIM SPANKYも辞めたくなくて、亀に「一緒に東京へ行かないか」と相談の電話をしたんですよ。そうしたら、亀も大学を辞めて東京に来てくれて、現在に至っていますね。でも当時、ベースの先輩も「一緒に行く」と言ってくれたんです。
亀本 元々いた、ベースのメンバーとドラムのメンバーは長野県に住んでいて、今でも仲がいいんですよ。
松尾 地元に帰ったら普通に会うし、GLIM SPANKYの立派な“初期メンバー”ですね。
――かつての仲間からも応援される環境で、プロとして“成功をつかめた”と感じられるターニングポイントはありましたか?
亀本 自分の中で「やっていける」と確信を持てたことはないんですよ。常に「やっていけるか」と不安は抱えていますし、頑張らなきゃいけないなと思っています。一度、大きくバズったとしても、瞬間的にヒットしてそのまま消えてしまうこともある厳しい世界ですし、一生「1本1本を大切に」とは、考え続ける気がします。
松尾 常に必死ですし、音楽業界の先輩から話を聞いても、みなさんそうおっしゃるんですよ。超大御所と思う人でも、不安があるのは驚いて、とにかく「がむしゃらに」と思って、日々、活動していますね。
――そんな思いを抱えながらもこの先、音楽活動を通してチャレンジしたいことも伺えれば。
松尾 たくさんあります。初のベストアルバムをひと区切りとして、超ディープな世界観のコンセプトアルバムも作ってみたいんです。普段使っているスタジオではなく、洋館を借りてレコーディングしたり、森の中で自然の音も拾いながらレコーディングしたり。アイデアは色々とわいてきます。
亀本 いつも、アイデアは聞いてるんですよ。ただ、数字がついてこないと、続けられないのもアーティストとしての厳しさなので。勝負するタイミングをみきわめて、僕は、松尾さんが実現できるようにサポートに徹せられればと思います(笑)。
Information
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収録楽曲はファンからのリクエストをもとにGLIM SPANKYメンバーが選曲、更にベストアルバムのために新たに書き下ろしたチャレンジングな新曲も複数収録予定。まさにGLIM SPANKYの軌跡と進化がひとつのパッケージとなった究極のベストアルバム。
荒々しくハードなガレージ/ブルースロックを掻き鳴らしていた初期から、ジャンルが多様化する流れとともに変化を重ね、GLIM SPANKYならではのロックを開拓し続けてきたバンドサウンドが濃縮されている。さらにDVDには2024年3月24日に東京・日比谷公園大音楽堂で行われた「The Goldmine Tour 2024」を全編収録。雨を吹き飛ばす叫びとダンスの波、圧巻のパフォーマンスは必見。フォトブックレットには、ベストアルバム用に撮り下ろした写真が掲載され、“今”のGLIM SPANKYの魅力がたっぷり詰まっている。また、「GLIM SPANKY 10th Anniversary Tour 2024」の渋谷チェルシーホテル(2024年8月7日)と Zepp Shinjuku(2024年8月30日)でのライブ写真も楽しめる内容になっている。
PHOTOGRAPHER:TOMO TAMURA,INTERVIEWER:SYUHEI KANEKO