すべて中川翔子指名で決まったトリプルタイアップ
――「ACROSS THE WORLD」の曲の魅力、他にはどんなところに感じていますか?
中川 やっぱり岩里祐穂さんの歌詞ですよね。“宇宙屑”と書いて、“ほしくず”と読む感じとかも大好きですし、年齢を重ねて人生の説得力が増していくと、また意味が違って聞こえたり、ハッとしたりするのかもしれないなと感じています。例えば、“零れ落ちた傷みさえ風を起こすよ”という歌詞があるんですけど、それこそ入院したからガンダムに会えたわけなので、そこは私自身とも重なる気がしています。あと、“黒い染みのような違和感も 塗り潰したりしないで 全てを引き受けたら”という歌詞の部分、“受け止めたら”じゃなくて“引き受けたら”というあたりが、大人の余裕や達観した感じがしてジオン派の私としてはなんかいいなと思ってしまいました(笑)。
――歌っていてご自身でも特にグッとくるポイントはどこでしょうか?
中川 “日々はまた続いてくけど 時はただ時を刻むけれど”というところでしょうかね。誰に対しても等しく時は刻まれていますけど、時間とは寿命なんだよなということを最近思うんです。振り返った時に後悔することもあるけれど、でも過去のすべての瞬間が経験値となって“今”という未来に繋がっていると思うと、失敗を塗り潰すのではなく、それもあったから今があると思えれば、新しいその先が見えてくるかもしれないなと思っていて…。人生はそういう積み重ねなんだなと思ったらとても面白いし、だからこそ、すべてに対して当たり前じゃない感謝の気持ちが湧いてくるのかなって。本当に“零れ落ちた傷みさえ風を起こすよ”という歌詞は大人になった今だからこそ分かる気持ちで、今この曲を歌えていることがどれだけ奇跡なんだろうかって思いますね。
――これから歌い続けることで、どんどん曲の魅力や深みが増していきそうですね。
中川 ガンダムシリーズって、色んなキャラクターが突然すごい言葉を発したり、急に死んでしまったり…色々ありますよね。そんなガンダムを歌うということは、宇宙を背負って歌うようなところもあるので、少しでも女神感を出せたらいいなと思っていたりもします。ファンの皆さんに「ペンライトは何色がいいですかね?」って聞いたら、青かなという意見もあったり、ジオン派だから赤かなという意見もあったり…。これから歌っていく中で、まだまだ色々な意味や色を見つけられそうな曲だなとも思っています。
――そんな楽曲をCDとして出せるというのも嬉しいことなのではないでしょうか?
中川 本当にそれなんです。人生は思い出作りなので、やっぱり現物が残るって素敵なことですよね。今回のCDを見て、ジャケットがかっこよくて私も泣きそうです。この時代、CDを予約して買ってくれるということがどれだけありがたいことか…、ものすごく感謝の気持ちが溢れてきます。リリースイベントには、ちびっ子達も来てくれるんですけど、ファン同士で結婚してお子さんを連れてきてくれる人もいますし、ポケモン世代で小さい頃に番組を見ていた子が大学生になって「自分のお金でCD予約しました」って言ってくれる人もいたりして…。当時は毎週必死でしたし、いつか誰かの思い出になれたらいいなとは思っていましたけど、ちゃんと届いていて、しかも大人になって会いに来てくれる…。これは当たり前のことじゃなくて、奇跡なんだと思っています。ガンダムが命や人生と向き合うテーマだということもあるんですけど、自分自身も色々あったので特にそう感じていますね。ファンの皆さんが健康で会いに来てくれるということは、皆さんのご先祖様全員がミラクルを起こしているということだなと思うので、「マジ死ぬんじゃねーぞ!!」って毎回叫んでいます。
――今回のシングルはトリプルタイアップということなので、是非カップリング曲についても教えてください。
中川 今回は3曲とも「中川翔子で」と指名していただいて決まったので、本当にありがたいことだなと思っています。2枚目のベストアルバムを出せた時に、自分的には“カーテンコールみ”を感じてしまったんですけど、さらにその先があったということにびっくりしています。同じく言霊というか、2曲目の「PEAKY」は『eゴッドイーターTRIPLE BURST』の主題歌なんですけど、『ゴッドイーター』はPSPでハマって、しかも4人プレイできるゲームで面白過ぎるから友達の分もソフトを買ってあげるくらいハマっていたので、その時の自分に10数年後にこんな未来が来るよと教えてあげたいです(笑)。曲はSohbanaさんに作っていただいたんですけど、若い才能が炸裂しているというかトリッキーで難しくて、口が慣れるまでは何回も噛んじゃって大変でした。でも、歌えるようになったら気持ちよくて盛り上げソングとして、バンドでやったら絶対に一体感も味わえてかっこいい曲だなと思います。リリースイベントでは「聴いた人全員の寿命が延びるように、愛の呪いを込めて歌います」って言って歌っていました(笑)。