アクションが型にならないように意識した
――アクションシーンもありますが、普段のダンス経験は活きましたか?
八村 前の作品でもアクションをやらせていただいたんですが、日頃からダンスをしているから、動線などを覚えるのは早いほうだと思います。今回、アクション指導の方もいらっしゃったんですが、教えていただいたアクションが型にならないように、本番直前で覚えたものを捨てるということを意識しました。ユウはめちゃくちゃケンカが強いとか、武器の扱いに長けているとかではないので、スムーズなアクションだと違和感があると思ったんです。
――児玉監督は数多くのホラー作品を手掛けていますが、演出面で印象に残っていることは何でしょうか。
八村 人を傷つけるシーンや、たくさんの血が流れるシーンなどのこだわりがすごかったです。「血糊の量が足りない」「こうしたほうがリアルに見える」「もっと荒々しく刺してほしい」と具体的な指示を出されていたのが印象的でした。
――とある密室で、岡田結実さん演じる恋人のメグミとユウが重要なやり取りをするシーンは、防犯カメラ風の固定カメラで映し出されます。どんなことを意識して演じましたか。
八村 お芝居でカメラ目線になることは滅多にないので、カメラを意識しないでお芝居と向き合うのは日頃からやっていることです。それが変わることはなかったんですが、より自然な立ち居振る舞いをしなくてはいけないなと。でもカメラの存在は自分の中で消すことができない訳で、定点の俯瞰したカメラの前でお芝居するのは新しい挑戦でした。
――長回しだから気も抜けません。
八村 定点でアングルが決まっているから、角度によっては顔が映らないので、表情で驚きを表現できないんですよね。だから体の動きをちょっとだけオーバーにするとか、引きの画でも感情が伝わるように意識しました。
――殺伐としたストーリーですが、現場の雰囲気はいかがでしたか。
八村 現場の雰囲気は和気あいあいとして心地よくて、楽しく撮影することができました。
みなさん人柄が素晴らしくて、映画初主演で不安になっている僕と温かく接してくださって。僕自身、周りに頼ろうと思って積極的にコミュニケーションを取っていたんですが、すぐに心を開いてくださる方ばかりで、背中を押してもらいました。