生のライブにすごく価値を感じているので、今後は挑戦したい

――音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。

あたし ちゃんと活動しようというか、ちゃんと歌おうって思ったのは、高校で軽音学部に所属した時です。元々私の母親が歌手なので、小さい頃から歌うことや音楽がすごく身近にありました。母は昔は小さなライブハウスとか、歌が聴けるレストランやバーで歌っていて、私は楽屋で待ちながらそれを聴いていたり。そんな環境だったので、私も気づいたら歌っていました。

――幼い頃から音楽が身近にあったのですね。

あたし そうなんです。音楽は大好きなのですが、当たり前のものというか、大好きなのかという感覚が分からない部分もあります。中高生の時にずっと「ニコニコ動画」を見ていたんですけれど、ニコカラというカラオケの字幕のついたような動画を投稿されてる方がいて、それを見ながら歌ったりしていました。

――歌をアップするようになったきっかけは?

あたし 元々歌い手という存在は知ってはいて、ライブやイベントに行ったことがあって。自分が歌を投稿するきっかけをくれたのが軽音楽部の顧問の先生です。コロナ禍で バンド活動が全くできなくなってしまった時に、「ネットに歌を投稿してみるのはどう?」と顧問の先生に提案してもらって、ネットで活動するようになりました。

録音の仕方とか機材とかは自分で調べて、お小遣いでインターフェースを買ったり。最初は両親のパソコンを使って録音していました。

――反響はいつごろから感じていきましたか?

あたし 一番は高校生の時に投稿した「グッバイ宣言」なんですけど、その前からXやYouTubeに「いいね」やコメントをいただくことが増えてきて。普通に生活していたら、500とか1000とか「いいね」をもらうことってあまり無いと思うので、楽しいですし、すごく嬉しいなと感じました。

――そこから本格的に音楽の道に行こうと思われたのですか?

あたし 元々、何かしら音楽に携わる仕事をしたいなと思っていて、父親からの提案で、ギターを作る工場に就職も考えたのですが、ネットに歌をアップして、知らない方から評価されるという体験をして、この活動を続けていきたいと思うようになりました。

――どんな時が楽しさを感じます?

あたし ネットで知ってくれたり、新曲を発表した時にファンの方が反応をくれることもすごく嬉しいのですが、リアルイベントに参加した時に私の存在を全く知らない人が曲だけを聴いて気に入ってくださり、私のブースに来てCDを購入してくれたことがありました。私のキャラクターとか存在を全く知らない方が、音楽を評価してくださったことがすごく嬉しかったです。

普段あまり顔を出さずに、ほとんど家も出ずに活動しているのですが、応援してくださる方に実際に会えて嬉しかったですし、家の中で録音している環境とは違って、ライブにしかない雰囲気があって。高校生の時からバンドをやっていたので、ライブにすごく価値を感じています。今後もライブやイベントに挑戦していきたいです。

――今後、アーティスト活動でもプライベートでもチャレンジしたいことを教えてください。

あたし 今回はボカロPさんによる書き下ろしですが、普段は自分で歌詞を書くこともあって、いずれは自分で曲を作れるようになりたいと思います。動画を作ることにハマっているので、楽曲も動画もイラストも、色々ジャンルの制作を出来る“なんでも屋”になりたいですね。

私生活では、元々生活力があまり高くないんですけど、自炊を始めたり、掃除を頑張っています。熱帯魚を飼っているのですが、熱帯魚のためだったら出来ることも、自分のことだとだらしなくなってしまうので、もっともっと生活力を上げたいなと思っています。

Information


「三文私売」
M1.落第(prod.内緒のピアス)
M2.傀儡合い(prod. d.j.ァネイロ)
M3.ワルキューレ(prod. こめだわら)

「三文私売」配信リンク
「落第」MV
「傀儡合い」MV

あたし

21歳、引きこもり気味の、歌ういい女。2020年、現役女子高生あたし名義で歌い手として活動スタート。高校在学中に投稿した「グッバイ宣言/Chinozo 【歌ってみた】」が500万再生を記録し注目される。SDR「クリエイターズマッチングプロジェクト」で歌唱部門・チーム部門のW受賞をきっかけに、クリエイティブレーベルMeMeMeetsに参加。TVドラマ『東京放置食堂』主題歌を担当。2022年、あたし名義でのプロジェクトが始動、「太陽観測」でデビュー。hmngがディレクションを務めたMVも話題を集める。同年”SNSで最も使われる音楽”を生み出す架空のアパート・MAISONdesにzumiTaと共に入居、「わかっちゃない」を発表。2023年6月にTVドラマ「4月の東京は…」の主題歌を担当した「イベリス」をリリースした。

INTERVIEWR:KOZUE NAKAMURA