乃木坂46卒業前から始めたミュージカルがお芝居の手助けになった

──メインキャストの5人で共演経験のある方はいらっしゃいましたか?

桜井 2018年に藤間爽子ちゃんとW主演で「半神」という舞台をやったことがあって。一卵性双生児で体がくっついている双子の役で、ずっと体をくっつけて稽古をしていたんです。だから久々の再会でしたが、すぐに当時の距離感に戻りました。

──5人でいるときの雰囲気はいかがでしたか。

桜井 同世代の子たちが集まっているので、めっちゃ楽しくて。みんないい子で、撮影の合間もずっと喋っていました。平和な雰囲気の中でお仕事ができるのは恵まれているなと思いましたし、ひたすら楽しかったです。

──3人の女性監督が演出を担当されていますが、みなさん世代が近いですよね。

桜井 だから余計に楽しかったところもあります。フレンドリーにいろいろ指示してくださるし、何よりお芝居中も笑ってくれるので、それに救われました。

──監督それぞれの色はありました?

桜井 全然違いました。独特なこだわりというか、いい意味でオタク要素がお三方それぞれあったので面白かったですね。いかにオタク感を出していくかを一緒に考えながら作れましたし、パンチのある方々が揃ったので刺激がありました。

──ここからはキャリアについてお聞きします。いつぐらいからお芝居を本格的にやろうと考えていましたか。

桜井 物心ついたきからテレビっ子で、両親と一緒に「踊る大捜査線」などのドラマを見ていくうちに、必然的に俳優さんに憧れるようになりました。それでお芝居がやりたくて、巡り巡ってアイドルになったんですが、本格的にやり始めたのは乃木坂46を卒業してからです。卒業のちょっと前ぐらいから始めたミュージカルが、その手助けになりました。

──実際にお芝居をやるようになって、理想と現実のギャップはなかったのでしょうか。

桜井 華やかに見えるけど、その道のプロの方々が集まって地道な作業をしているんだなと、もの作りの大変さを目の当たりにしました。

──グループ在籍時と卒業してからで、お芝居の向き合い方に変化はありましたか?

桜井 グループにいるときは、ソロでお芝居のお仕事をするときも、桜井玲香としてではなく乃木坂46のメンバーという気持ちが強かったんです。一人で背負っているというよりは、責任が分散されるような感覚があったんです。それが当時は、桜井玲香として見てほしいという不満もありました。でも一人になるとプレッシャーも大きくて、グループに助けられていたんだなと気付きました。お芝居は自分を見てもらえて初めて存在意義があったりするから、そこに飢えている部分もあったけど、卒業してから難しさを痛感しました。